■バックナンバーVol.8■
[リフレッシュ・デー] |
タイムテーブルを見ても映画や食事時間以外、なんの企画もない。水先案内人の企画も自主企画も、なにもかも──それが「リフレッシュ・デー」だ。
この日ばかりは、毎日夜遅くまで作業している船内新聞局、そして1日中忙しく働いている音響担当もお休み。そして私たちスタッフも、いってみれば「何にもない日」だ。
たまにしかない、こんな日。昼すぎまで寝てゆっくりランチして…と、思うでしょ?だけど、答えは「ノー」。リフレッシュ・デーは決して、少なくとも私にとっては「休み」ではない。
船内企画がお休みでも、船は止まることなく進んでる。次の寄港地だってあっというまにやってくる。だから、それまでの企画内容を詰めなくちゃいけない、その次の企画案も出さなくちゃいけない…常に一歩前、いや三歩ぐらいは先を読んでおきたい。だから自然と、足はピースボートセンターに向かい、手はパソコンに向かってしまう。
オマケに、今日でこの船旅もあと1ヶ月。そろそろ日本も「見えて」きた。日本に着くまで、どんなふうにどんな企画をやっていけばいいのか──そんなこんなで、いろんなことをみんなと話しているうちに日が暮れてしまうのだ。日が沈み、あたりが暗くなってくると思う。「今日も、"リフレッシュ"できなかったなぁ…」と。
けれど。逆に言うと、この日はスタッフ含め、たくさんの人たちとじっくり話せる日、ともいえる。一緒にビールを飲みながら、これからのこと、そして個人的な思い出話から今現在のこと、そしてお互いの未来のことも──話しても話しても話したりない。そして話せば話すほど、面白い人たちと一緒に乗ったんだなあ、と思えてくる。だからどんなに忙しくても、なんだか損しちゃった気分になったとしても、私はリフレッシュ・デーが好きだ。
そんなこんなで迎えた、3度目のリフレッシュデー。屋上では参加者によるフリーマーケットが開かれていた。青空のもと、みんなニコニコしていて、海はきらきらしていて…みんながゆったりのんびりと楽しんでいる空間。こんな空間をつくれてよかった。今日も私は忙しいんだけれど、そんな風景にはやっぱり心なごむモノがある。
そんな今夜、スタッフどうしの交流会も開かれる。みんなでとことん話して、思いのたけをぶちまけあって…そしてあと1ヶ月、頑張ろう。よし、今夜は飲むぞ!!
(チョウ・ミス)
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[コミュニケーションしよう!!] |
『GETプロジェクトプレゼンテーション』の1コマから |
佐竹です。
洋上英語・スペイン語会話プログラム「GET」のコーディネーターをやってます。
今クルーズ、GETの生徒さんたちは英語・スペイン語あわせて約130人。そして先生たちは14人。今回は、その先生たちとの話をしたいと思います。
「GET(グローバル・イングリッシュ・トレーニング)」という名前のとおり、先生たちも多国籍。米国、英国、南アフリカ、オーストラリア、メキシコ…その中で、日本人は私だけ。そんな中、いろいろ考えさせられることもあります。
毎日毎日授業をし、ハードな日程の中で自分たちも勉強し、船内イベントも企画しちゃう先生たち。そんな彼らが毎回ぶつかる壁が、「自分たちのことを、どうやって伝えたらいいのか?」ということ。GETの教室から一歩出れば、そこは日本人だらけの世界。GETの生徒さんたちとはどんどん仲良くなっていくけれど、先生たちだって、もっともっと交流したい。いろんな人たちと友達になりたいと思ってるんです。もちろん、ほかのピースボートスタッフとも。
だけど、すべての人が英語が話せるわけじゃありません。スタッフにしても(もちろん英語を話そうと努力してるけど)そうです。もちろんみんな、GETの先生たちに興味はあるし、英語も話してみたいし、やさしい人たちばかり。それでも先生たちは、もっとちゃんと伝えたいと思ってます。フレンドリーでノリのいい、だけどそれだけじゃない自分たちのことを。
「わかりあう」ためには、お互いの努力が必要。それはわかっているけれど、先生たちは時に、私にこう言います――「ピースボートって国際NGOなのに、なんだか内向的じゃない?」もちろん本気じゃないけれど、そんなとき、ひとり日本人の私は「そ、そんなことないよ」と言いながらも、ドキッとしてしまいます。
船内生活のいろんなルール、みんながうまくやっていくためにつくったはずのルールは、時々、彼らには理解しがたかったりもするからです。それを説明するのには、とっても時間がかかります。めんどくさいなあ…そう思っちゃうことがあるのも事実、です。
でも。そんなときに思うんです。
もし、スペイン語しか話せない人たちが700人いるところにたったひとり放り込まれたら。もし、まわりの人たちがエスペラント語しか話せなかったら。一瞬途方に暮れても、なんとかコミュニケーションをとろうと努力しますよね?そして、通じたときにはとっても嬉しいんですよね。
そして今日、GETの先生たちと参加者の皆さんが取り組んでいるプロジェクトの発表会がありました。歌やパッチワーク、映像やスライドショー、いろんなプロジェクトはすべて、英語やスペイン語で準備をすすめてきたモノです。確かに、本番までずーっとドタバタしてましたけど、終わったあとのみんなの嬉しそうな顔ったら!!――コミュニケーションをとっていくのは、確かにムズカシイ。だけど通じたときにはとっても嬉しい。私はその嬉しさを知ってるから、何があっても、また頑張ろうと思うのです。
(佐竹理加)
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