■バックナンバーVol.4■
[ピースボートセンターにいると] |
スタッフの寺島徳子です。みんな、「のこ」って呼びます。
私は「ピースボートセンター」担当です。ここは、船の中でパブリックスペースがいちばん多い7階にある、企画の相談窓口兼物品貸し出し場兼みんなのたまり場兼──そのほか、いろんな役割をもつ、おもしろい場所です。
外からみたら、私は黙って座ってる、または誰かとおしゃべりしてるだけに見えるかもしれないんですけど、毎日毎日、忙しいんですよ、これが。貸し出しする文房具とか備品の管理や発注、各ロッカーの鍵の管理に──もう、毎日毎日、目が回りそうです。
とくにいまはイベントが目白押し。水先案内人の講座から船上結婚式、WSF、社交ダンスや卓球、空手から折り紙教室にいたる数々の自主企画…その中のほとんどが、なんらかの「道具」を使うもの。
彼らはピースボートセンターにそれを借りに来ます。そして、貸出物品のなかでも多いのが、マジックペンやカッター、セロハンテープなどの文房具です。
その中から、水先案内人のピーターバンドによる初ライブのときの話をしたいと思います。
ピーターさんのステージは、毎回ド派手な装飾が大好評。なにしろ船内中の植物をすべてブロードウェイラウンジへ移動させ、ありとあらゆる模様のカンガ(ケニアの布)が壁やステージを覆い、もう、とにかくすごいんです。
だから、たくさんのガムテープが必要なのはわかります。決して備品をケチケチと出し惜しみしているわけではなく、「必要とされるところにちゃんと有効利用する」のが、私たちのモットーだからです。というわけで、その日も、ライブのリハーサル中から、たくさんの人たちがハサミだのテープだの、ヒモだのを借りに来てました。そのうち、ロッカーの中にはほとんど何にもなくなってしまいました。そんなとき、担当スタッフが「ガムテープない?」といって入ってきたのです。でも、そのときにはもう、ガムテープはすべてロッカーの中からなくなってしまってました。
「すごくたくさん使ってるんだな」…なんてちょっと思いながら、私はしかるべきところに連絡し、ガムテープが運ばれてくるのを待っていました。が、そのとき、5人以上の男の子たちがほぼ同時に「ガムテープ貸してください!」といってピースボートセンターに入ってきて、私を取り囲んだんです!!
しかも彼らは、別に担当スタッフの遅さにしびれをきらして入ってきたわけではなく、それぞれの持ち場でガムテープが足りなくなって借りに来た人たちなのでした。──うーん、まったく連携が取れてませんね(笑)。
いま思い出すと笑ってしまうのですが、そのときには「ガムテープなんて持ってなーい!!」と叫びたい気分でした。だって、ないものはないんだもん…それに、5人以上に囲まれてちょっと怖かったんだもん。
結局無事にガムテープは届き、私は彼らに1つだけ「大事に使ってね」と手渡してコトは済んだのでした。このように備品の貸し借りひとつとっても、喜怒哀楽のドラマがあるのです…というのは大げさですが、時々、本当に困っちゃうこともあるんです。みんな、大事に使ってね。
(寺島徳子)
|
|
[ムンバイの交通事情] |
人口11億人のインド。人も多けりゃ、車も多い!!特にムンバイの街にはタクシーが多かった。
インドのタクシーは屋根が黄色で車体は黒。全部統一らしい。そして、日本では考えられないほどのオンボロ具合…。見た目でも驚いたのに、乗って更にびっくり。シートはほこりっぽいし、ドアは今にもはずれそう。エンジンもなかなかかからないし。これで本当に走れるんだろうか──それが走れるんです。見た目以上の乗り心地。
もっと驚いたのはムンバイの道路。車線なんてものは存在しない。道路の幅から見て2車線なのに、いつの間にか3車線になっている。車間距離も前後左右、10数センチの世界。その中でいきなりバックで逆送する車あり、強引にUターンする車ありで、乗りながら何回も「きゃぁぁ!!」「危ない!!」と叫んでしまうくらい、本当に危険だった。
更に、更に、驚くのは、そんな道路を歩くムンバイの人たち──。車線も車間距離も無視している車の間を縫って、平気な顔して渡る、渡る。しかも、歩いて。車が来てるんだから、せめて小走りくらいしてもいいのに。日本の横断歩道に慣れた私は、道路を渡るのにも一苦労だった。「今だ!!」と思って渡ろうとしたら、猛スピードの自転車に邪魔されたりもする始末。
そんなごちゃごちゃな道路だから、車のクラクションも半端じゃない。日本は相当危険な場合に鳴らすという感じだけれど、ムンバイでは違う。「はいはーい。通りまーす。」という感じで鳴らしているようだ。だから誰も怒ったり、イライラした表情はしていない。ムンバイでは車のクラクションは、日本ほど雑音になっていないように感じた。
もう1つ驚いたのは、バス。とにかくいっぱい人が乗っていて、今にもあふれ出しそう。実際、バスの手すりに掴まって身体は完全に出てる、なんて事は普通のようだ。バス停は至る所にあるのに、バスはバス停に2秒しか停まらないらしい。2秒じゃ乗り降りできない!!と思うけど、なるほど、ほとんどの人はバス停ではなくてその辺で降りている。バスの速度が落ちたところで、ささっと降りる。そこが交差点の真ん中でも、もちろん平気な顔でささっと降りる。
バスが交差点で止まった時、ささっと降りた人がいた。ところが、大きめのバックがバスの中の人に挟まってしまったようだ。無情にもバスは発車。ちょっと引きずられるような感じになっていた。たまには失敗もあるみたい。
どこをとっても「キケン」な、ムンバイの交通事情。でも、2日間ムンバイにいて交通事故も目撃しなかったし、そんな話も聞かなかった。私にとっては危険だったけど、車線がなくても横断歩道がなくても、ムンバイにはムンバイの交通マナーがあるんだろうなぁ。結局、最後までムンバイ流の交通マナーは身につかなかったけど。
ムンバイの人が日本に来たら、どう思うだろうか──。
(島田綾)
|
「reporter's eye」バックナンバーへ | 44回クルーズレポートトップへ |