□12月28日 辺野古の海を守る人たちと交流
地球一周最初の寄港地・沖縄。「基地の中に島がある」とも言われるように、日本にあるすべての米軍基地の、7割以上が沖縄に存在しているという。そんな中、新たな基地建設が予定されているのが、沖縄本島中部にある集落、辺野古。「人魚」とよばれる動物・ジュゴンが住むという海に、海上ヘリポート建設の話が進んでいる。
ここでは、長く基地建設反対運動をすすめてきた『命を守る会』のおじいたちをはじめ、辺野古の海を守ろうとしている人たちを訪問。彼らの優しさや彼らからの厳しい宿題、そのほかたくさんのモノを受け取った、そんな1日をレポート。
ピースボートの水先案内人でもある、真喜志好一さん。バスの中で、彼によるミニレクチャーを受けながら辺野古へと向かう。
辺野古の浜にある『命を守る会』の拠点。プレハブの中は、辺野古を訪れた全国の人たちからのメッセージで埋ままっていた。1997年の住民投票では反対が圧倒的多数だったにもかかわらず、基地建設の準備だけが着々と進められている。いまは、海に杭を立てるボーリング調査がいよいよ始まるのでは、と、緊張の毎日が続いているという。
ここで話をしてくれたのは、金城結治おじいと嘉陽宗義おじい。1945年の沖縄戦体験者でもある嘉陽おじいは、「かつて自分が銃を手に取ったからこそ」と、平和を求め、基地建設にも反対している、という。また、金城おじいはこう言った。「よく人は、『歴史に流される』という言い方をするけれど、歴史はあくまで人がつくるもの。平和も、人がつくっていくものです」。
あるスタッフがこう言っていた――「基地建設をめぐる見通しは、決して明るくないかもしれない。けれど、少なくとも彼らは、市民として基地に反対し、現実にまだ建設は始まっていない。実際には、彼らは勝利していると思うよ」。そんなおじいたちに、船内で集めたカンパを手渡した。少しでも、役に立てば。
おじいたちが話をしてくれた浜は、こんな有刺鉄線で区切られている。柵の向こうは、米軍基地"キャンプ・シュワブ"。「シュワブ」というのは沖縄戦で活躍した兵士の名だ。この砂浜を、毎日のように水陸両用の装甲車が走りまわるのだ。メンバーからは自然と、「あの浜のむこうまでおじいと散歩したい」という言葉が。
この有刺鉄線には、訪れた一行からのメッセージが書かれた布も掲げられた。地球一周を終えたら、必ず沖縄に戻ってくる――そんな願いを込めて記念撮影。
辺野古の浜から15分ほど離れた大浦湾。すぐ横にキャンプ・シュワブを見ながら、向こう岸をめざし、みんなでカヌー。これは、自然を体感することでその大切さを実感してもらおうと、NPO「ひまわりハウス」の東恩納さんらがおこなっているエコ・ツアーの一環だ。片道40分の道のりを、ふたり一組で漕いでいく。遠浅の海はすごく透き通った、美しい色を見せてくれた。
この大浦湾も、ヘリポート建設時には資材置き場になってしまうという。おじいたちが頑張って、ここまで止めてきた海上ヘリポートの建設。東恩納さんは、私たちにこういった。「ここに来てこれを見た、ということは、あなたたちはもう私たちと同じ、当事者だ。もう、知らない、とは言えないんですよ」。
(久野良子)
SEA NAVI 1月4日号へ
|
44回クルーズレポートトップへ