ラパヌイの若者達と交流
 ラパヌイの伝統や文化・誇りを大切に守り伝えてゆこうと、島の若者たちが集まって結成したダンスグループ『カリカリ』。イースターでは、観光業で「何となく食べてゆける」島の若者たちに、新たな目標を見つけるきっかけをつくっていきたい、という。一緒に ご飯を食べ、ダンスを披露してもらいながら楽しく交流するコースとなった。
 『カリカリ』のメンバーに、「私たちの伝統的台所へご招待します」と連れて行ってもらった所には、こんもり土の山がある。土とむしろをどかすと、バナナの葉っぱと湯気、そして焼き芋のようない〜い香りが。これは「ウム」と呼ばれる伝統料理で、穴の中に焼けた石を置き、その上にバナナの葉っぱと芋や肉などを交互に載せていき、最後に土をかぶせて蒸し焼きにするというものだ。肉も芋も、とにかくとろけるような柔らかさ。ほっぺたが落ちそうとは、こういう時に使う表現だと思う。
 おいしい料理に舌鼓をうったあとは「文化交流」。ピースボート側からも、船内で練習してきた手話パフォーマンスやダンスを披露。そのうち、見よう見まねで踊りだしてしまうラパヌイの若者たち。なんだかとっても嬉しくなる。
 今度は『カリカリ』のメンバーが、踊りや音楽を披露。その迫力には、圧倒されるばかり。踊りが終わった後、メンバーの1人がこう話してくれた。「言葉は分からなくてもあなたたちの目や表情で、何を言いたいのか伝わってくる。同じように私たちの歌や踊りの意味も、そして思いも、きっとあなたたちに伝わっている。言葉は、そんなに必要じゃない」。
 限られた時間を一緒に楽しもうと、あちこちにラパヌイの若者を囲んだ輪ができる。踊りを教えてもらっている人の輪。一緒にドッヂボールをしてる人、綱引きしてる人もいる。短い時間だったけど、みんなの心に残ったものは大きかったことだろう。
(藤森美里)
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