9月12日
日本にも難民はいる
/土井香苗(法律家)
東大在学中3年生で司法試験に合格し、ピースボートがきっかけとなって独立間もないエリトリアに単身渡り、法律制定に力を注いだ土井香苗さん。今回は、遠い国のことと思われがちな「難民」について語っていただいた。
「難民というと、遠いアフリカなどの国のことと考える方も多いと思いますが、ここ日本にも難民はいます。例えば、アフガニスタンの少数民族であるハザラ人は、モンゴル系であること、異教徒であることなどを理由にタリバンに迫害を受け、日本に難民としてやってきました。彼らは日本政府に難民申請をしたのですが、9.11以降状況が変わってしまい、強制収容所に不法入国者として、収容されてしまいました。収容所での生活は厳しく、中には自殺を図る青年もいました。これは難民を保護する「難民条約」に違反しています。
日本はアフガン復興に多額の援助をすると約束しましたが、足下のアフガン難民についてはこのような対応をしているのです。難民を受け入れたくない、外国人を受け入れると、日本の富が流出するという日本政府の姿勢がそこから感じられます。しかし、今日の国際化の波のなか、そういった姿勢が許されるわけもなく、富は分け与えていくべきだと市民の側から声を上げていくことが重要になってきています。」
(因麻衣子)
アメリカの正義
/後藤和夫(ジャーナリスト)
フリージャーナリストの後藤和夫さんがシンガポールから乗船され、その第1回の講座「アメリカの正義」がおこなわれた。大勢の人で埋め尽くされたミュージックサロンで、ベトナム戦争の傷跡を扱った映像が流れた後、その制作者である後藤さんは、「アメリカの正義とは」ということをテーマに語ってくださった。
「ベトナム戦争終結から26年もたっているのに、人々は地雷や不発弾等の犠牲になり、いまだにたくさんの人々が苦しんでいます。そのような罪のない人々の死に対し、いったい誰を責めればよいのでしょう。アメリカは誰もが憧れる文明の先端ですが、そこには自尊、誇り、おごりがあったのかもしれません。しかし、少なくとも「正義」を主張して戦争を起こすのであれば、きちんと後片づけをする必要があるのではないですか?私達日本人も、この出来事に無縁ではないのです。このままアメリカに「世界の警察」をまかせておいてよいのでしょうか?私たちにはいったい、何ができるのでしょうか。そして正義のための戦争とはいったい何なのでしょうか?」
(上村真子)
9月12日のインデックスへ
/
39回クルーズレポートインデックスへ