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南アフリカ・HIVの現実
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今クルーズで寄港する南アフリカ共和国は、世界で最もHIV感染率が高い国の一つ。一部には、2人に1人がHIV感染者という地域もあるという。南アフリカでの地球大学エクスポージャーツアーでは、HIV関連のさまざまな施設を訪問、感染者やそれをサポートする人たちと交流しながら、アフリカにおける「HIVの現実」を見つめた。
地元のカトリック系団体が運営する施設「ナザレスハウス」。
ここでは、母親の胎内でHIVに血液感染(母子感染)した子供たちが生活する。この日は実際に子供たちに会うことは出来なかったが、施設で働くシスターのひとりから話を聞くことができた。南アでの現状を日本でも繰り返さないためにも、日本でもHIVについて是非話し合って欲しい」。
NGO「ブカニ」の事務所。
HIV予防のための活動を進めるこの団体では、ボランティアのスタッフが中心となって、地元住民を対象に、性に関する相談を受けたり、コンドームを無料配布して使用を呼びかけるなどの活動を行っている。特に「性に関する相談」は、今までそのような場が無かったため大好評だとか。
HIV撲滅のメッセージが壁一面に描かれた「グラフィティー (壁落書き)」の見学をかねて、地元の小学校を訪問した。私たちを待っていたのは、子どもたちによる大歓迎。
彼らのほとんどはアジア人を見るのも初めてで、しかも現在、彼らの間ではジャッキー・チェンやブルース・リーが大人気なのだそう。「アチョーッ」とブルース・リーの物真似をしてみせる子がいたり、デジカメの画面を不思議そうに覗きこんでくる子がいたり…みんな好奇心旺盛だ。
昼食は旧黒人居住区内にある「民宿」のひとつで。様々な南ア料理や地ビール「モコモティー」を堪能した。写真中央はこの民宿の経営者、からだも心も「ビッグ」な、ビッグママと呼ばれる女性。「居住区を活気付けたい」という思いで、数年前にここをオープンさせたという。
昼食後は居住区内を散策。案内してくれた人から、色々な話を聞くことが出来た。
アパルトヘイト廃止から10年近くが経つ今も、厳しい生活を強いられている黒人は多い。家族の誰も仕事に就いていないという家はザラで、多くがその上に寝たきりの病人などを抱え、生活補助に頼って暮らしているという。それでも、出会う人たちの顔はとても陽気でパワフル。みんな、びっくりするくらい前向きだ。
「エイズガーデン」と呼ばれる記念公園へ。
詩人のジェスロさんによる詩の朗読を聞き、ピースボートからも、公園内にある記念碑へ花を捧げた。
(関和明)
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