9月27日  ▼サバンナの話をしよう /神戸俊平(獣医)
野生動物に魅せられ、ケニアで約30年間、獣医として活躍してきた神戸俊平さん。第一回目の講座は、サバンナにおける野生動物と人間の共存について。そして多くの参加者がこれから訪れるサファリにまつわるお話もしていただきました。
「サバンナといっても、そこら中に野生動物がいるわけではありません。また、その中で人間と野生動物が共存することは非常に難しいことなんです。
例えば、アフリカ象がいた場所に人間が畑を作る。そして、その畑を荒らしたといって象を殺してしまうのです。そのために以前、56頭もの象たちを保護区へ移動させましたが、うち5頭もの象が死んでしまいました。
また、象牙をねらった密猟の存在も忘れてはいけません。現在、象牙取引は禁止されていますが、それだけに価値が上がり、言い値で取引されているのも事実です。
日本の高度成長期と時を同じくして、120万頭いたアフリカ象が半分の60万頭に減ってしまったという事実があるように、中心となって象牙を輸入しているのは、実は日本を始めとする東洋の国なのです。そうした象牙の7〜8割は印鑑に使われています。需要があるから、密猟は無くならない。ここにいるみなさんが象牙製品を買わないこと。それだけでも立派な動物保護であると私は思います。」
(万木)
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