9月15日  ▼誇り高い小龍/井川一久(ジャーナリスト)
ベトナム戦争中の取材経験をはじめ、30年にわたってインドシナの地と深いかかわりを持ってきたジャーナリストの井川一久さんに、「ベトナムの文化と民族」について語っていただきました。
「小龍とは、『ベトナムに侵攻した中国を始めとする大国(大龍)に抵抗するベトナム(小龍)』という意味です。
ベトナムは長い間外敵に抵抗しながら民族を形成してきました。そして、ベトナム戦争時代にひどい行為を繰り返したアメリカ人も含め、外国人には全く危害を加えることがなかった。まして恨むこともなかった。なぜか。『過去を忘れてはいけないが、過去を恨んではいけない。』これが『ベトナムの文化であり伝統』だからです。ここにベトナム人の誇り高さが象徴されています。  
ベトナムの文化・民族には、『暴力が嫌い』『家族的で温情主義である』といったいくつかの特徴があげられます。二つ目に挙げたものについては、法律で『一年に一度は社員旅行をしなくてはいけない』と定められているほどの徹底ぶりです。」
(村松)
Let's goベトナム
現地の人たちからの要望を受けて集めた援助物資を船に積み込み、訪れる寄港地へ届けるのが「UPA援助チーム」。出航前からボランティアスタッフとして活躍してきた安藤くんに、明日入港するベトナムに向けてUPAが行ってきた活動、そして今後の「援助」についてお話してもらいました。
「『援助』と聞いて、『単に何かを届ければいい』そう思っている方も多いんじゃないでしょうか? 僕も以前はそうでした。でも、実際はそういうものではないんですね。例えば、自転車を例にとってみましょう。自転車が足りない。だからといって、単純に山ほどの自転車を届けたとしたら、現地で自転車の売買によって生計を立てている人は、いったいどうなってしまうのでしょう。
このように、届けた後に及ぼす影響についても考慮が必要なんですよね。今年7月、調査のためベトナムを訪れた中で非常に印象的だったのは、以前届けた消防車のその後でした。
その消防車は、徳島県の山川町というところから提供されて届けたもので、現在フエという町の消防課で使われているんですが、元々右ハンドルのはずが左ハンドルに付け替えられ、塗装も一変している。ところが、車体にかかれていた『山川町』の文字はそっくりそのままだったんです。
見た瞬間『マジで!?』ってビックリしちゃいましたけど、現地で大切に使われ、大活躍している姿を見て、なんだかとっても嬉しくなっちゃいましたね。明日の入港中は再び現地調査を行い、今後のUPAの活動に還元したいと思っています。」
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