10月27日  ▼ラジオボート〜紛争地からの情報発信〜
/ゴラン・ベイジッチ(ジャーナリスト)
旧ユーゴ紛争時、中立で公正な情報を発信するために洋上で運営された『ラジオボート』の創設者の一人で、現在はジャーナリストとして活躍するゴラン・ベイジッチさんに、当時の様子について話していただいた。
「紛争時、旧ユーゴ各国が発信する情報は敵国に対する憎悪に満ちたもののみでした。そこで、EUなどの援助を得ながら、旧ユーゴ各国のジャーナリストが集まって『ラジオボート』を創設し、プロパガンダに満ちた情報ではなく、中立で客観的な情報を発信したのです。
残念ながら一つのラジオ局では戦争を止めることはできなかった。
しかし、対立する国出身のジャーナリストが共同で、戦争下においても共通の生活、助け合いの生活を行うことができるということを発信することによって、多くの市民に勇気を与えることができたと思います。」
(北口)
自分探しの旅〜写真は自分の鏡〜  /吉田ルイ子(フォトジャーナリスト)
「写真を撮ることを通じて自分自身を見つめ続けてきた」と語る吉田ルイ子さん。今回の講座では、写真との出会い、そしてフォトジャーナリストとしての思いについて、スライドも交えながら語って頂きました。
講座の最後には、「自分は何を撮りたいのか、その写真を通じて何を表現したいのかという気持ちを大切にしてシャッターを切ってください。」とのアドバイスも頂きました。
「写真との出会いは、ニューヨーク・コロンビア大学へ留学中の26歳の時でした。
気分転換にと訪れた美術館で、母親の出産という生命誕生の一瞬を、窓の外から心配そうに見つめる兄弟の姿をとらえた写真に出会ったのです。それこそ私の人生を変える衝撃の一枚となりました。そしてその後、「ハーレムの子供たちの瞳の輝きを撮りたい」とフォトジャーナリズムの世界へ飛び込んだのです。
写真は、「ショッキング・エフェクト(すげえ)」写真が目的ではなく、あくまでも愛情の表現であると私は考えます。フォトジャーナリストとしては、甘い考えなのかもしれませんが、私はそれでいいのです。
一人の人間として今後も“愛情の表現”としての写真を撮り続けていきたいと思います。」
(尾崎)
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