10月1日  ▼スラムとエイズ/神戸俊平(獣医)
ケニアにて獣医として活躍する傍ら、様々なNGO活動にも精力的に携わる水先案内人の神戸俊平さんによる最後の講座。アフリカで蔓延するエイズについて、自らもカウンセラーとしてHIVウィルス感染の危険やケアについて呼びかける立場にある神戸さんより、蔓延する様々な原因についてお話ししていただきました。
「世界のエイズ患者及びHIVウィルス感染者の70%がサハラ砂漠以南の『ブラックアフリカ』と呼ばれる地域に集中し、さらに驚く事にその7割が20〜30代の子どもを抱えた母親なのです。
ケニアでは現在、人口の13%がエイズ患者とされていますが、現実には30%近くいるだろうともいわれています。こうしたケースは特にスラムに暮らす人々の中で見ることができます。
それというのも男であれば泥棒、女であれば売春をするしか生きる術が残されていないためなのです。子供を抱えた母親であれば、子供にミルクを飲ませるために身を売るしかありません。『コンドームを付けるなんて言えば客が逃げてしまう』というのが現実で、そのため母親達も感染してしまうのです。
エイズ治療薬が特許となっていることも大きな問題です。薬を開発した国、つまりは欧米諸国をはじめとする先進国は途上国に対し、債務取り消しと引き替えに特許を認めるよう要求、途上国はそれに応じてしまったのです。本来ならば病気で苦しむ多くの人々に使われるべきはずの薬が、国内では作ることができない、けれども高い外国産に手を出すことができないため、貧しい人々に十分行き渡らないのです。」
(万木)
リナとオフィールの日常生活〜インティファーダの中で〜
/リナ・R・ザラティモ、オフィール・フュールスタイン(ピースボート国際奨学生)
ISのリナ(写真左・パレスチナ出身)とオフィール(写真右・イスラエル出身)による2回目の企画。それぞれがNGO活動にどのように関わっているのか、そして、現地に暮らす若者として、イスラエルとパレスチナが抱える問題について、どのように関わっていこうとしているのかについて語ってもらった。
リナ「私は幼少の頃から、私たちパレスチナ人には何故イスラエル人と同じような権利が認められないのだろう?と疑問を感じていました。1980年代にインティファーダ(パレスチナの民衆によるイスラエルへの抗議行動)が起きた時、私が通っていた学校が3ヶ月間閉鎖されました。イスラエル人は学校などの施設を通常通り使用できるのに対し、私たちにはそれが許されなかったのです。私はこれをイスラエル人によるパレスチナ人に対する差別以外の何物でもないと感じました。それ以来、法律を学ぼうと決心したのです。学ぶことは、私にとっても、そしてパレスチナ全体にとっても良いことになるだろうと考えたためです。」
オフィール「私の働くNGO『B'TSLEM』は、イスラエルのパレスチナ占領下で何が起こっているのかについて、イスラエルの人々に情報を提供する役目をおっています。ほとんどのイスラエル人が、占領地で何が起こっているのか知らない、あるいは知りたくないのです。国際法に基づき『B'TSLEM』はイスラエル政府の行動を非難してきましたが、そういった人権侵害は、最初のインティファーダのときに始まり、パレスチナ人による自治を定めたオスロ合意の当時にも行われていました。そして昨年の、アル・アクサのインティファーダが始まった頃からは更に大規模に行われるようになっています。暴動自体の質、そしてイスラエルの政策自体にまったく変化はありません。つまりイスラエルは、これまでに何も学んでこなかったということになります。」
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