11月4日  ▼1936年の船内生活/金丸知好(自由文筆業)
「65〜70年時計の針を戻してください」。そんな言葉から始まった本講座。
移民船“らぷらた丸”で44日かけてブラジルへ渡った人々の船内生活の様子を、1930年にらぷらた丸に乗船した経験をもつ作家・石川達三により書かれた小説「蒼氓」、そして当時の船内で発行されていた船内新聞などを参考に、金丸知好さんにお話ししていただきました。
「当時最高級といわれた“らぷらた丸”ですが、その船内に冷房なんてものはありませんでした。
涼をとるのは、自然通風と扇風機のみ。日中は船内にいると非常に暑いためみんなデッキに出るわけですが、夜は20時に寝るように決められていました。
しかも、いちばん少なくて600人という大部屋で寝なくてはならなかったのです。そのため、人々はベッドの周りのカーテンを開け、ほとんど裸の状態で寝るようになりました。女性の持ち物として『股引』が奨励されていたのにはそんな理由があったのです。
また、航海中は、新聞係、書籍係、運動係などを移民ら自らが務め、ポルトガル語講座、運動会、赤道祭までが 行われていました。なんだか我々の航海と共通点が多いですよね。そういう点では、ピースボートの船旅は“移 民船的”でもあると言えるでしょう。」
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