「ケーララ・モデル」の秘密に迫る
私たちが訪れたインド南部のケーララ州は、インドの中でも低い経済成長率を示す一方で、五歳未満児死亡率、女性の識字率などの社会指標において、いわゆる「先進国」並みのパフォーマンスを実現している。その様子は「ケーララ・モデル」と称され、国際的にも評価が高い。その原動力になっているのがNGOの活動。中心的存在であるNGO団体『KSSP(民衆科学運動)』のメンバーと交流し、彼らが行うユニークな活動をのぞいてきた。
港からバスで1時間ちょっと走って、KSSPの事務所に到着。代表のトーマス・アイサックさんから活動説明などを聞いた後、カラジャタ(劇を通して平和を訴えるKSSPの演劇チーム)が歌や劇を披露してくれました。「ヒロシマ、ナガサキ」の言葉もでてきた平和の歌にすっかり圧倒された後は、ピースボート側から国際奨学生でイスラエル出身のリナに教えてもらった“パレスチナダンス”を披露。
地域の人々により運営される、村に一つだけのこの幼稚園は、なんと子どもたちの出席率100%。KSSPからの「歌、踊りを通して楽しく学ぼう」という提案により、1年に1回各村対抗の歌や踊りの発表会もあるらしい。しかもレベルがかなり高いというから、インドの方の歌と踊り好きは筋金入り。
ここでは、サッカーを通じての交流をめざす「ピースボール」プロジェクトの活動の一環として、5個のサッカーボールを子どもたちに届けた。ボールがあると蹴りたくなるのが人間の性(?)ということで、気が付けば子どもたちと一緒になってサッカーボールを追いかけていた。
ココヤシの木の繊維(皮)の部分を使って縄を作るプロジェクトを見学。ここで働いていた9人の女性たちは、この仕事で生計を立てているという。
「グラッチ」と呼ばれる縄を巻く機会を器用に使って、一日でつくる縄の長さは3000m。その後、この縄は男性によってマットに加工される。実際に作業を間近で見ると、ココヤシの細い繊維を立派な縄にする高度なテクニックに驚かされた。
KSSPが女性の暮らしを支えるため、1990年にスタートさせたのが石鹸を作るプロジェクト。
代表者のメディナさんによると、地元ケーララ州の特産物であるココナッツオイルをふんだんに用いた石鹸は「香りも良く、手に優しい」とのこと。作業場での女性たちの働きぶりを見学するだけでなく、実際に石鹸づくり体験もさせていただいた。
(村松)
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