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エマウス共和国の子供たち
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豊かな生活を求めアマゾンの村からやってくる人々があとを絶たないベレンでは、治安の悪化や貧富の差の増大とともに、路上に生きる子供たちの増加が大きな社会問題となっています。1970年から、ストリートの子供たちを集めて職業訓練などを行っている施設「エマウス共和国」を訪れ、子どもたちと交流を行いました。
エマウス共和国では、職業訓練を兼ねたリサイクル事業として、古紙を使った「紙作り」が行われています。参加者も型枠を手に取り、紙すくいへ挑戦するもなかなか均等に仕上がらず大苦戦。
出来上がった紙からは、小物入れや封書など子供たちの手作りアイデア製品が作られます。このプロジェクトでは多くの受注を受けることができるものの、設備的な限界もあり、なにをどう商品化していくかが今後の課題。
エマウス共和国の中でも成功を収めているのが、家具などの粗大ゴミを集めて修理・販売するというプロジェクト。子どもたちにとって、ソファなどの家具修理は、単なる職業訓練に留まらず、製品の販売を通して「自分が社会の一員である」という実感と自信を深めていくことにもなるといいます。
最近では、不要品の提供やエマウスで研修を受けた若者の雇用を申し出る企業もあり、社会全体の理解も定着してきているそうです。
若者や学齢前の子どもたちを対象に、精神的な成長を目的とした文化教育として取り入れられているカポエラは、かつて奴隷階級の自己防衛術として発達した格闘技とダンスがミックスされたもの。
「この取り組みをはじめて以来、子供たちのいざこざや、いわいる校内暴力は、不思議とまったくなくなりました」と校長先生。子どもたちの躍動感あふれる生き生きとした表情が印象的だった。
ピースボートからも、日本文化を紹介しようということで、有志により練習が続けられてきた「桃太郎」の劇をポルトガル語の解説つきで披露桃太郎が元気良く飛び出すシーンでは、会場の子どもたちから大きな歓声が沸き起こった。
交流会では、日本と世界の子どもたちの交流の架け橋となることを目指す「もみじの手」プロジェクトが中心となって、「幸せなら手を叩こう」の大合唱。紙風船、折り紙、あやとりやサッカーなどもまじえて、子どもたちと一緒に時間を過ごした。
(尾崎)
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