3月29・30日 ▼南米最南端の町・ウシュアイア
南極からわずか1000kmに位置する『世界最南端の町』ウシュアイア。人口4500人の小さな町の背後にそびえる山々、国立公園内の紅葉、そして海ではアザラシの姿など南極の風を感じる雄大な自然を満喫。小さなセスナ機での往復にハラハラしたけれど、「ここまで来たからには!」そんな想いを満たしてくれた2日間でした。
プンタアレナス入港後一同は一路空港へ。そこで私たちを待っていたのが10〜20人乗りのセスナ機。「これも貴重な経験」と平均年齢60歳、約30名の参加者は3台に分乗し1時間の空の旅へ…。
「頭ぶつけちゃって〜」、「何度も続く急降下はもう勘弁」なんて感想が漏れるドキドキハラハラの1時間となりましたが、こうしてツアーの様子を伝えられるのですから、みなさん無事ってことですよね。
市内の港からは南極へ向かう船もあるという話に、「世界の果て」を実感。ここから双胴船でビーグル海峡へ。その途中に見えたのは小さな島の「山盛りのアザラシ」。寒いは揺れるはという状況の中にあっても、シャッターチャンスを逃さないみんなの姿に、「だてに3ヶ月近く船に乗ってないな」とたくましく感じます。
国立公園で、特に注目を集めたのがこの『ビーバーのダム』。こうして見事に(?)水を塞き止めてしまうため、立ち枯れしてしまう木が発生。ビーバーは、元々は北米とヨーロッパにしか住んでいないそうで、ここでは天敵もいないため、急激に繁殖が進んだ。その数、5万とも。かわいく見えるダムづくりでも、一度破壊された森は再生するのに100年かかるらしいですから、確かに大きな問題。 でも、「毛皮産業に利用しよう」と、この地にビーバー君たちを持ち込んだのはアルゼンチン政府自身だというのだから、勝手な話ですよね。
川や湖、そしてアンデス山脈にも連なる険しい山々など、多くの表情を持つ公園内。その樹々をよく見ると、その表面にはコケ(ガイドさん曰く「とろろ昆布」みたい)が付着している。『老人の髭』と呼ばれるそれは、空気が綺麗なところでしか育つことができないものだとか。
このカワイイ列車こそが、世界最南端を走る『世界の果て』号。ゆっくりと車窓から両脇の風景を眺めれば、「来て良かったね〜」と車内はほのぼの幸せ気分。
『世界の果て博物館』では、パスポートや絵はがきを取り出して受付前に行列が。お目当ては「世界で最も南の町にきましたよ」という記念のスタンプ。知人や家族へあてた、なんと30通以上の手紙を抱えて、「このためにここ最近寝不足で」なんて方も。
どんなスタンプかって?それは届いた人のみのお楽しみ。
人口増加目的のため、この辺境の地に囚人が送り込まれたのは1986年のこと。その囚人たちが建築や燃料用の木材を運搬するために使用していたのが、現在の『世界の果て』号のルート。蝋人形の囚人らの表情に思わず笑いがこぼれる。けれども、コートを着てもまだ寒いこの環境の下、肉体労働をしていた当時を想ってちょっぴり反省。
レストランでたまたま同席したのは、とある日本企業に勤めるみなさん。歓迎にと歌を一曲披露してもらうと、「ここで何もしなけりゃ日本人がすたる」と、お返しに参加者の1人が『船唄』を披露。どちらもその姿は堂々と、そして素晴らしい歌声でした。やっぱりここもラテンの土地ですね。
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