3月10日 ▼ナミブ沙漠とスワコプムンド
ナミビアの海岸沿いに広がるのは、その美しさもさることながら、世界にも類を見ない特異な生態系を持つナミブ沙漠。なかでも「ウェルウィッツィア」と呼ばれる植物の中には、なんと樹齢2000年以上のものが存在するという。沙漠を車でひた走る私たちの前方に現れたのは「蜃気楼」、そして海辺のラグーンに暮らすたくさんのフラミンゴ。100メートル近い高さの砂丘を一気に駆け上ったりもしながら『生きている沙漠』と呼ばれるそのゆえんを実体験。ドイツ植民地時代の影響を色濃く残す街「スワコプムンド」では特産の地ビールを味わいつつ、ゆったり、じっくりナミビアを堪能した。
これが「ウェルウィッツィア」、日本では「奇想天外」と命名され、その寿命は2000年以上のものが存在するといわれる植物(ただし年輪はないので、炭素14法という測定によるものだそうです)。写真は推定樹齢600〜800年だとか。ここナミブ沙漠は最高気温54度、最低気温-8度と寒暖の差が激しく、非常に乾燥しているため生物にとって「水」は死活問題。この「奇想天外」はというと、だらしなく広がった二枚の葉がナミブ沙漠名物の霧をキャッチして結露を土の上に落とし、それを地中の根っこが吸い上げるシステムになっているらしいですよ。
このちっちゃくてカワイイのは、12年モノのウェルウィッツィア。発芽した後、生涯たった2枚しか葉を出さないのも特徴の一つ(たくさんあるように見えるけど2枚だけの葉が無数に裂けているのだとか)。 ところで、別グループのガイドさんの案内によると、どうやら推定樹齢に数百年程度の違いが…。「どちらが正しいの?」の質問にガイドさん、「何百年も前に僕らは生きていなかったから、確かな数字はわからないよ」と堂々と答えてくれました。とはいっても、育った葉の大きさ、幹の太さから彼らが推測した樹齢も全く見当違いではないから、ご安心を。
「ふえるワカメ」じゃないけど、見せてもらった感想はまさしくそれ。干からびた様にも見えるこの『コケ』に水を与えて待つこと10分、するとビックリ緑色の美しい姿に。こうした現象は毎日、霧が沙漠を包む午前中に繰り返されているのだという。このナミブ沙漠に多くの動植物が存在できるのは、ベンガラ寒流から発生した水蒸気が、気温の高い内陸部に達して霧となって降り注ぐため。 「こうしてコケが水を補給することにより、朝に見る沙漠の表面はうっすら緑がかるんですよ」。うーん、それは美しい光景だろうなあ。
ナミビア最大の観光都市スワコプムンドは、古い建物やビール工場、ドイツ料理店など植民地時代の面影を残す。歩き回って感じたのは「まるで長崎のハウステンボス」。とはいっても、建築様式は「ドイツ」なのに、その配色は「アフリカ」。18世紀には反ドイツの闘いによって多くの血が流された過酷な歴史もあるけど、やっぱりちょっぴり変わったその空間には「かわいい!」の声があがるのも自然なこと?
ナミブ沙漠に風紋の美しい砂丘は数多くあれど、正式な名前が付けられているのはごくわずか。その理由は、「移動したり、なくなったりしない」という条件を満たしているかどうかに依るから。それというのも、風による浸食の力は想像以上で、砂丘の姿が変化したり、また年々移動するのもそれが理由となっている。
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