2月18〜21日・19〜22日  ▼ドクター神戸も行くナイロビ3泊4日
モンバサ停泊中の船内講座で爆発的人気を博したドクター神戸は、現在ナイロビで獣医を営んでいる。そのドクター神戸、当初の予定ではケープタウンまで1週間乗船の予定だったが、日程変更のためルーシには乗船せずナイロビに戻ることに。それではドクター神戸の暮らすナイロビとはどんな街なのか?モンバサとはひと味もふた味も違ったナイロビを、ドクター神戸のユニークな案内でめぐってみた。
やはりケニアに長居するなら、その首府も見てみないとね。というわけで集まった32名が最初に見たものは…。「これガソリンスタンド?」、「バス停でしょ」、「公衆トイレじゃないの?」。みんな何いってんの。ちゃんと書いてあるでしょ、モンバサ・レイルウェイ・ステーション(鉄道駅)と。うーん、しかしケニア第2の都市の玄関口とは思えぬほどこぢんまりとしたたたずまいには、そんな声が挙がるのも無理はないか。
ケニア有数の港町モンバサと首府ナイロビを結ぶ特急は1日にわずか1本だけ。しかも車中1泊2日の深夜特急。しかしケニアの寝台列車に乗れるからこのツアーに参加したという者も少なからずいて、プラットフォームに立っただけで大はしゃぎ。1等車には乗客名簿(ボールペンで手書きされている)があり、掲示板に張り出される。ピースボートの32名は2車両を「占拠」。自分たちの乗客名簿を見つけて記念撮影も。
ナイロビ行き深夜特急は英国製だが1等車両ですらかなりの年代物。通路も人がひとり通るのがやっとの狭さ。それでもコンパートメントには洗面台や服かけロッカーも付いていて、居心地はそんなに悪くない。午後7時、すっかり暮れなずんだモンバサ駅を出発!参加者もみんな童心に帰って、中には「わーい、もう大満足!」と叫ぶ人も。何言ってるんですか、ツアーは始まったばかりですよ…。
とても蒸し暑いモンバサとはうって変わって、ひんやりとした空気がコンパートメントに流れ込んでくる。あたりは一面のサバンナだ。インパラの群れや、キリンが車窓風景に飛び出してくるのもケニアならでは。
到着予定は午前8時30分頃だったが、実際にナイロビ駅のホームに滑り込んだのは9時50分。これはまだましな方で、前日に出発した第1陣は到着が正午少し前だったと言うから、このチームはかなり運が良かったと思うべきでしょう。何しろポレポレ(ゆっくりゆっくり)、ハクナマタータ(問題ない)の国なのだから。
ナイロビの中心街を車中から眺め、ホテルにチェックイン。ランチを取って最初に向かったのがケニア国立博物館。ケニアでも最高ランクの博物館ということもあって、展示品のバラエティーぶりには目を見張らされる。野生動物の剥製がところせましと並び、「野生のエルザ」で高名な女流作家ジョイ・アダムソンのきわめて写実的な植物画の数々には圧倒される。2階の民族伝統分文化ギャラリーにはケニアに暮らす様々な民族の用具が17のブースに分類されていて、ここで足を止める人も多い。写真はアフリカの楽器。
翌日にはドクター神戸がツアーに合流。ナイロビの旅もいよいよ佳境を迎える。様々な理由で親を失ったりはぐれたりした子象たちが育てられている「子象の孤児院」は午前11時から1時間のみの開園。というのもいずれ大きくなれば野生に戻すため、あまり人に慣れすぎることは子象のために良くないのだそう(密猟者と遭ってもついつい近寄っていって撃たれてしまうこともある)。それでわずか1時間だけの対面となる。しかしながら人なつっこさは野生のそれとは全く違う。ある参加者はその長い鼻で足をなで回され、ズボンが泥だらけに。
ナイロビ国立公園の入口にあるのが「ミニ動物孤児院」。やはり親のいない動物たちのための施設で、その種類もダチョウ、サル、そしてライオンと多種多様。そして我々はケニアに来て初めて、どう猛なライオンを見ることになる。ゲームドライブで遭遇するそれは眠たげで、ぐったりとして、人間が近寄っても吼えることすらしない奴らばかりだった。
ところが孤児院の雄ライオンは、飼育係がオリに近寄っただけで金網を食いちぎらんばかりの勢いで威嚇し、吼える(そのうなり声は豚みたいで無様だったという人もいたが)。おお、これぞ百獣の王!と感動したのもつかの間、エサの牛肉ひとかたまりを与えられむさぼり食べ終えると、満腹で「百獣の惰眠王」になってしまいました…。
飼育係がチーターを連れて園内を散歩させる。散歩が一段落すると、好奇心旺盛なピースボートの参加者たちがよってたかってチーターに触ろうとする。飼育係も喜んで触らせる。迷惑なのはチーター。これからゆっくり一休みしようと思っていたのに、わけのわからん連中が次から次へと現れては頭を勝手になでて、写真におさまっていく。ツアーの参加者は「かわいいー」と大喜びであったが、チーターの方はもういい加減にしてくれー、とうんざりの表情だったりして。
ドクター神戸も、ここのキリンの診察をしたことがあるというジラフ・センター。飼育係がバケツをガンガンたたくと、どこからともなく首を長くした(もともと長いぞ!)キリンたちが寄ってくる。エサを手にしたツアー参加者たちはキリンに直接エサを与えるが、その舌触りのベットリ気味が何とも言えなくて、あちこちからキャーという悲鳴が。キリンたちはエサをたらふく食べると、さっさとどこかへ消えてしまいました。
このツアーのお目当てでもあった、ドクター神戸のお宅訪問。ドアを開けるとそこにはアフリカ各地の珍しい楽器が、まるでケニア国立博物館のように並んでいる。あのナベサダこと渡辺貞夫とのセッション光景&ここを訪問したザ・ドリフターズのいかりや長介の写真も貼ってある。
そして訪問者全員に振る舞われたのが「サバンナ・ティー」。カタカナで書くと風流な感じがするけど、その実体は「象フン茶」。土とわらの味がする。これはドクター神戸が拾ってきた天然の象フンを熱湯に煎じたもので、もちろん市販されていない。利尿作用があり、特に女性の美容には素晴らしい効果を発揮するのだという。というわけでツアー参加者の若い女性の間で象フン争奪戦が繰り広げられる。とまあうんこ盛り、じゃなかったてんこ盛りのナイロビツアーは無事終了。3泊4日がとても短く感じられる、ユニークなナイロビの日々であった。
(金丸)
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