▼ストリートチルドレンセンター訪問▼
 ここのところ、急激な経済発展を遂げたベトナム。それにともなって貧富の差も広がっている。その荒波をまともに受けるのは、やはり子どもたちだ。
 そこで、ダナンにある唯一のNGO「ダナン・ストリートチルドレンプログラム」を訪問。ここは、職業訓練や基礎教育などを受けさせるだけでなく、子どもたちに「愛」のある生活と将来的な自立をめざす取り組みを続けている。今回は、ふたつの職業訓練所と、子どもたちが暮らす家を訪れた。
 バスはダナン市街を離れ、山中のカンソン地区へ。ここには大きなゴミ集積場があり、たくさんの子どもたちがそこで働いている。そんな子どもたちに教育の機会をと、ここの学校ができたのは4年前のこと。11歳から18歳の子どもが学んでいる教室では、教える先生のほうもひと苦労。子どもによって程度の違う勉強をきちんと見られるよう、通常はひとつの教室に2人の先生がいるそうだ。
 ところかわって、ここは街中にある職業訓練所。コンピューター、裁縫、刺繍などいくつかの部門に分かれている。
  ベトナムの伝統産業である刺繍はやはり人気が高いが、その実とっても難しい作業。他の訓練が6ヶ月間なのにくらべ、刺繍は9ヶ月間かかってやっと卒業だ。練習しているものだけでもじゅうぶん上手なのだが、先生は「まだまだ、これからですよ」という。
 ピースボートのUPA国際協力プロジェクトが中心となって日本で集めてきた文房具や楽器。それらの物資をここで降ろした。ここで学ぶ子どもたちと同年代の参加者が、所長のグエン・ランさんに文房具の入った袋を手渡す。ふたりが握手をしたときには、ピースボート側からもセンターの子どもたちからも大きな拍手が。これらの物資は、子どもたちの情操教育の一環として使われる。
 今度はセンターからのプレゼント。贈られたのは、子どもの刺繍作品だ。水牛を引いている農村の風景を縫ったものだった。
 子どもたち30人をひとつの「家庭」に集め、お父さん役とお母さん役の大人と一緒に暮らす、「ファミリープログラム」のお宅を訪れた。ここの家には、男の子10名、女の子15名が暮らしている。壁にかかっていたこれらの絵は、米国の女性画家がここでホームステイをした時に子どもたちに絵の描き方を教えたときのものだとか。壁には、いままで訪れたたくさんの人の写真が飾ってあった。
 おいしい家庭料理をいただいたあとは、子どもたちとの交流が待っている。参加者のひとりは日本から「福笑い」を持参。初めて見る福笑い遊びに、彼らも大興奮だ。
  子どもたちが遊んでいる光景をほほえましく見ていたここの「お父さん」、バーさんは、最後にこういっていた。「またきっと、来てください。子どもたちのことを、どうか忘れないでください」。
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