2011年5月、第73回・地球一周の船旅に、パレスチナ・イスラエルの若者が70名乗船しました(区間:クシャダス〜ラスパルマス)。ドイツの 「基本的権利と民主主義のための委員会」が毎年開催する「Vacation From War(戦争からの解放、以下「VFW」)」プログラムが、2011年はピースボートの洋上で行われる運びとなったのです。ドイツで「VFWパレスチナ・ イスラエルプログラム」が始まったのは2001年のこと。ピースボートの洋上で出会った双方の若者が、直接出会い語り合うことが占領問題を終結に導くきっかけとなることを確信し、自分たちの後輩を育てるため10年間取り組んできたのです。その10周年を記念すべく、2011年は ピースボート洋上での開催となりました。
スナイパー狙撃により肉親を失ったパレスチナの若者がイスラエル側に悲しみを直接ぶつけるなど、苛立ちや恐怖心などがむき出しになる場面に始まり、2週間の洋上生活の中で双方の相違点や対立点が浮き彫りとなりました。。そんな中歩み寄りが見られたのは、他の地域紛争に触れたとき。旧ユーゴ紛争後の和解プロセスをクロアチアに学び、スペイン内戦後のカタルーニャ社会を学び、核の脅威と人間の安全保障を広島のヒバクシャに学んだ参加者たちは、自らの立場を相対化しながら意見を交わし、占領問題を終結させる糸口を共に模索しました。
普段は出会うことさえ難しい若者たちが同じ屋根の下で共に生活をする貴重な体験の中では、お互いを一個人として、新たな友人として認め合うことで強い絆が生まれたのです。
イスラエル側参加者の声:「パレスチナ人は、私たちを『敵』『兵士』と見ている。占領の責任を問われ、何もいえない日もあった。でも友人関係を築 くことで、家族を愛する気持ちなど共通の思いを持った同じ人間であることを実感できた。対等に社会活動ができる環境を創り出したい。」
パレスチナ側参加者の声:「生まれて初めてイスラエル人と話をした。謝罪をされた。しかし、必要なのは謝罪ではない。対話を経て得たものを糧に、イスラエル政府や国際社会を変えていきたい。」
彼らの洋上生活の様子は、下記リンクでご覧頂けます。
http://www.peaceboat.org/english/?page=view&nr=155&type=20&menu=64
※日本語字幕付き
|