9月下旬に始まる第66回国連総会に向けて、ピースボート、日本国際ボランティアセンター(JVC)などで構成する「国連改革を考えるNGO連絡会」は、共同提言を発表し、日本外務省に提出しました。「生きる権利を守る世界へ」と題するこのNGO共同提言は、東日本大震災を経験した日本から世界に発信するメッセージとして、とくに「平和的生存権」と「予防原則」の重要性を強調しています。
現在国連の人権理事会では、「平和への権利」を国際原則として確立しようという動きがあります。提言は、これは日本の平和憲法の理念とも合致しており、日本政府がこの動きに積極的に加わるよう呼びかけています。
「予防原則」とは、1992年のリオ環境サミットで確立した国際原則であり、人間や環境に大きな被害が予想される場合にはこれを予防する措置をとることが各国の責務であるとしています。提言は、政府開発援助(ODA)の実施にあたってこの原則を取り入れることや、原子力事故の対応にあたっても同原則に基づいて万全の対応をとるべきであるとしています。
国連総会に合わせて、9月22日には潘基文国連事務総長の呼びかけにより原子力安全に関するハイレベル会合が開催されます。提言は、国際的な原子力規制当局の「独立性」が必要であるとし、「国際原子力機関(IAEA)から原子力産業界の影響力を排除する」こと、また、国連環境計画(UNEP)や世界保健機関(WHO)が原子力規制のための能力を高め、そのための予算やスタッフを確保すべきである、としています。
■国連改革を考えるNGO連絡会による「NGO共同提言」の全文(PDF) |