3月17日(木)、ピースボートの緊急災害支援・先遣スタッフが、宮城県・石巻市に到着しました。仙台から北東に約40km、旧北上川の河口に位置し、県内第2の人口を擁する石巻市は、黒潮と親潮がぶつかる良質な漁場を持つ水産都市としても知られています。しかしながら、東北関東大震災でで、地震と津波による壊滅的な被害を受け、いまも多くの方々が行方不明のままです。
先遣スタッフとして現地入りしたのは、ピースボート共同代表の山本隆ら4名。山本は、阪神淡路大震災をはじめ、トルコ、パキスタン、台湾、チリ、新潟県中越地震、スマトラ島沖地震など、国内外問わず多くの被災地での救援経験を持ちます。山本らは、今回現地入りするにあたり、まず毛布や飲料水などトラックとバン2台分の支援物資を届けました。
石巻に入った先遣隊がまず目にしたのは、津波に飲み込まれ瓦礫と化した街の姿。市内沿岸部の湊地区では、打ち上げられた船が町中に散乱し、「車の上に車」「家の上に家」などの目を疑いたく情景が辺り一面に広がっていました。発生から1週間経った現在でも、町中では遺体がいくつも発見され、次々に運ばれていきます。
また、市内に170近くあるとされる避難所では、インスタントの食糧や飲料水がかろうじてあるものの、場所によってはまだ毛布1枚で寝ていたり、救援にあたる消防の方々も車中で一夜を明かすなど、寒さや飢えなどの厳しい環境の中で生活を続けています。持参したテントで宿泊している先遣スタッフも、ズボンを4枚、上着7枚に寝袋、その上に毛布を被った状態で寝ていても、凍えて目が覚める程の寒さが続いているようです。
山本によると、震災被害の種類は大きく分けて、「揺れ」「火災」「津波」の3つ。中でも、津波は深刻で、家や財産のすべてを奪うとともに、衛生面でも非常に難しい状態が続きます。救援や復興に向けた活動を行うにも、東京などの大都市からも距離があり、加えてガソリンの供給不足や交通事情の複雑さも重なっていることから、現地では圧倒的に人手が足りていないのが現状です。石巻市では、災害ボランティアセンターへのボランティアの申し出は1日20人以下でした。また炊き出しなどの支援を行っている団体も2〜3団体しかなく、その食材も1週間程度で無くなってしまう量しかないそうです。
そんな中、現地に残っている先遣スタッフは、支援物資の運搬活動に当たっています。石巻の災害対策本部や災害ボランティアセンターとも協力し、飲料水や食料、下着などを石巻市内の女川町へ運びました。避難所生活が一週間続いていることもあり、新品の下着などが喜ばれたそうです。また、原付バイクで市内数ヶ所の避難所を視察し、炊き出しに関してニーズの聞き取り調査を行いました。
現在、避難所への物流も滞り、温かい食事や着替えなども不足していますが、さらに盗難などを恐れ、半壊した自宅や自家用車の中で生活をする被災者の方々へは、最低限の食事や飲料水などの配布がまったく行われていない状況です。ガソリンも決定的に不足しており、被災者自身はまったく動けない状態。市内の大規模病院(石巻赤十字病院、斉藤病院)などでも食料や不足が起こっています。
このような状況を受け、ピースボートでは、石巻での緊急かつ継続した支援のため、炊き出しや避難所でのお手伝い、引き続き物資の運搬などの活動を行うことを決定しています。圧倒的な人手不足もあることから、東京で一般応募のボランティアチームを組み、現地ニーズに合わせた形で派遣していく予定です。救援ボランティアをご希望される方は、こちらのページをご覧ください(→東北関東大震災・災害支援ボランティア)。
引き続き、皆様のご協力をよろしくお願いします。 (3月21日) |