朝鮮半島の平和を求める東北アジアNGO声明を発表
 去る11月23日の朝鮮半島の砲撃事件を受けて、ピースボートが事務局をつとめるNGOネットワーク「武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)東北アジア」では、12月2日、以下のようなNGO共同声明を発表しました。声明では、対話による平和的な解決、事態を悪化させる軍事演習や軍事活動を止めること、非武装地帯の設置と拡大などを求めています。
朝鮮半島における平和を求めるGPPAC東北アジア声明
 以下に署名する私たち市民社会組織のメンバーは、2010年11月23日に延坪島住民の悲劇的な死傷をもたらした北朝鮮と韓国の間の砲撃の応酬に衝撃を受けています。私たちは、犠牲者の親族ならびにこれによって影響を受けたコミュニティーの皆さんに心より哀悼の意を表します。私たちは、関係するそれぞれの国にどんな理由があったかにかかわらず、この悲劇をもたらした攻撃を断固として非難します。

 私たちはまた、この事件後の展開にも深く憂慮しています。軍事活動が続き、政策決定者や人々の間にさえ挑発的な言動が広まり、緊張が高まっています。このような反応の背景にある感情は理解できるものですが、緊張が高まればそれはさらなる暴力や衝突をうむだけです。緊張を和らげ、創造的で平和な解決方法を探すために協力しなければなりません。進むべき道は、対話をおいてほかにありません。東北アジアの人々は、平和を求めて団結するべきです。

 私たちは、関係するすべての国の政府および人々に以下のことを誓約するように訴えます。
  1. 今すぐ軍事活動を止めること。 北朝鮮と韓国は、ただちに停戦を宣言しなければなりません。事件発生地域内および周辺での軍事演習は状況を悪化させるものであり、止めるべきです。すべての関係国は、地域の緊張を高めるいかなる行為も慎まなければなりません。
  2. 対話の開始へと努力すること。 北朝鮮と韓国の政府は、できるだけ早く外交的対話を準備しなければなりません。その他の国の政府は、この対話が成功するように努力するべきであり、6カ国協議の早期再開を含む地域的な対話も追求するべきです。
  3. 事件で何が起きたのか調査すること。 砲撃事件発生地域は長年にわたって北朝鮮と韓国の間の係争地域であったという事実に注目しなければなりません。それゆえにすべての関係者は挑発および軍事行動を完全に控えるべきでした。事件で実際に何が起きたのかを明らかにするために、国際的調査が必要です。
  4. 軍備競争に走らないこと。 どの国も、この事件を理由に軍備増強や軍事予算の増加をするべきではありません。軍事力の増強は紛争を予防するどころか、軍備競争を引き起こしてしまいます。軍備競争は、限られた資源を必要としている人々から奪うばかりでなく、さらなる衝突の危険を高めます。必要なのは、地域的な協調的軍縮措置および安全保障協定を発展させることです。
  5. 非武装地帯を設置し拡大すること。 私たちは、2007年10月4日の南北首脳会談の共同宣言で合意されたとおり、この地域でのこれ以上の紛争を予防することを目的に、北朝鮮および韓国の政府が西海/黄海に「平和協力地帯」を設置することにとり組むよう求めます。また、この地域におけるその他の紛争地帯においても、非武装地帯を設置し拡大するよう呼びかけます。このような非武装地帯では、演習を含む軍事活動は禁止されるべきであり、対話および透明性の向上を図るためのプログラムなどの信頼醸成措置を行うべきです。
  6. 市民社会が重要な役割を果たすべきこと。 市民社会のアクターであるNGO、学術機関ならびにメディアは、上記のようなプロセスを円滑に進めるために重要な役割を果たすことができます。政府は、このようなアクターがその正当な役割を果たせることを保障すると同時に、そうするように奨励するべきです。メディアには、いかなる挑発もしてはならないという特別な責任があります。メディアはむしろ、バランスのとれた分析を広めるとともに、対話を促進するべきです。
 今回の悲劇的な事件は、東北アジア地域が未だに分断され冷戦の残滓に悩まされているということを改めて浮き彫りにしました。朝鮮戦争の休戦協定から半世紀以上が経った今日、朝鮮半島における平和体制をつくり出す必要があり、同時に、東北アジア全体に平和メカニズムが必要です。私たちは、2000年6月15日と2007年10月4日の南北共同宣言および2005年9月19日の6カ国協議の共同声明を想起し、関係国政府にさらなる努力を求めつつ、これらの目標の達成に向けて努力することを改めて誓約します。

2010年12月2日


当初署名人:

安藤博 (ANDO Hiroshi)/非暴力平和隊・日本、東京

區伯權 (AU Pak Kuen)/香港教職員連盟、香港

バディム・ガポネンコ (Vadim GAPONENKO)/国立海洋大学、ウラジオストック

エンサイハン・ジャルガルサイハン (ENKHSAIKHAN Jargalsaikhan)/ブルーバナー、ウランバートル

黄浩明 (HUANG Haoming)/中国NGO協力促進会、北京

徐斯倹 (HSU Szu-chien)/台湾中央研究院政治学研究所、台北

メリ・ジョイス (Meri JOYCE)/GPPAC東北アジア地域連絡オフィサー、東京

チョン・ギョンラン (JUNG Gyung-Lan)/平和をつくる女性の会、ソウル

川崎哲 (KAWASAKI Akira)/ピースボート、東京

アントン・コステュック (Anton KOSTYUK)/国立海洋大学、ウラジオストック

イ・ジェヨン (LEE Jae Young)/韓国アナバプティスト・センター、東北アジア平和構築インスティテュート、ソウル

イ・テホ (Lee Taeho)/参与連帯、ソウル

松井ケティ (Kathy R. MATSUI)/ハーグ平和アピール平和教育地球キャンペーン、東京

ミャグマル・ドブチン (MYAGMAR Dovchin)/ブルーバナー、ウランバートル

笹本潤 (SASAMOTO Jun)/日本国際法律家協会、東京

沈丁立 (SHEN Dingli)/復旦大学、上海

イ・キホ (YI Kiho)/韓神大学、ソウル

吉岡達也 (YOSHIOKA Tatsuya)/GPPAC東北アジア地域イニシエーター、ピースボート、東京

張家棟 (ZHANG Jiadong)/復旦大学、上海


*この声明は、武力紛争予防のためのグローバル・パートナーシップ(GPPAC)東北アジア地域運営グループのメンバーおよび関係者により起草され、上記のメンバーがまず署名をしました。その上で、一般からの賛同を呼びかけています。
*署名者の名前に付された団体名は、所属を表すのみです。

このリリースに関するお問い合わせは...

武力紛争予防のための
グローバル・パートナーシップ(GPPAC)東北アジア地域事務局

〒169-0075 東京都新宿区高田馬場3-13-1-B1
ピースボート気付(担当:メリ・ジョイス)
(Tel:03-3363-7561/Fax:03-3363-7562/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
最新のプレスリリース一覧へ