沖縄米軍基地に関する鳩山首相へのピースボート要請文
鳩山総理大臣殿
2006年、危険を伴う宜野湾市の米海兵隊の普天間飛行場の閉鎖を条件として、辺野古区のキャンプシュワブの拡大を許可するということがアメリカ政府と日本の前政権の間で合意されました。
私たちは、この合意を保留し、沖縄の人々の声に耳を傾け、移設先の決定を5月まで延期した首相の決断を応援します。
普天間飛行場は直ちにに閉鎖されるべきです。飛行場は人口が密集した市の中心地に位置し、既に多くの住民の生活に被害を及ぼしています。飛行場に離着陸する軍用機の絶え間ない騒音は、周辺の学校、病院、官公庁、世帯の日常生活に障害を与えています。沖縄の面積は、日本領土全体の1%以下に過ぎませんが、国内の全米軍基地の75%を負担しています。私たちは、このような重荷が軽減されるよう長年要求してきた大多数の沖縄の人々を支持します。
普天間基地閉鎖を条件に辺野古に新基地を移設するという、前政権で結ばれた合意は、軍事基地の駐留による沖縄の重荷をさらに増大させます。基地周囲を拡大し、2つの1,800メートルの長距離滑走路を建設するために辺野古の大浦湾をコンクリート、泥、有毒物質で埋め尽くせば、湾の生態系は取り返しのつかないほど破壊されます。また、騒音問題に関しては、沖縄の一カ所から別のもう一カ所に移動させるだけに過ぎません。そして、今まで何世代も前の世代から沖縄の人々を支えてきた水(資源)や土地へのアクセスを否定することにもなります。2,000日以上に渡る継続的な座り込みデモや、基地拡大計画に反対する市長を投票するといった動きを通して、名護市民は基地拡大への反対の意志を明確に表明しています。
私たちは、こうした反対の動きを無視し、拡大計画を実施せよという米国政府や日本国内の政府関係者からの圧力に関わらず、この計画を首相が再検討する必要があると確信しています。特に、ガヴァン・マコーマック名誉教授による2006年の合意の分析を是非考慮に入れていただきたく思います(同分析を同封いたしますのでご参照下さい)。分析は、2006年に結ばれた合意は間違いなく、違法、違憲、偽装行為であり、不正だと述べています。また、この計画が世界遺産や生物多様性、無形遺産の保護を妨げるものでないかという点からも、今一度吟味していただきたいと思います。
対話と協調、相互理解を育む東アジア共同体の創造など、より効果的に、この地域に平和と安全がもたらされるような施策を私たちは期待しています。
そして、この東アジア共同体が東アジア非核地帯を実現する大きな一歩になると信じています。
私たちは、5月に発表される鳩山首相の決断に期待するとともに、沖縄の声に耳を傾け、移転させることのできない自然遺産の保護への尽力に期待します。
2010年2月12日
ピースボート、
US for OKINAWA-Peace Action Network