コペンハーゲンで国連気候変動枠組条約第15回締約国会合(COP15)が始まりました。ピースボートは、日本を含む各国政府に対して、地球温暖化をくい止め被害を最小限に抑えるための努力を強めつつ、会合における公正な政治合意を結ぶよう強く求めます。
1997年、京都におけるCOP3で、温室効果ガスを削減するための世界初の国際法である「京都議定書」が誕生しました。しかし、京都議定書が定めた2008年から2012年という第一約束期間の中間点にある今、地球温暖化をめぐる世界の状況は改善されるどころか悪化しています。国際機関は、大気中の温室効果ガス濃度が高まり続けており、洪水や干ばつ、熱波が、頻度も規模も以前と比べて増大していると報告しています。
ピースボートは、過去20年にわたり地球一周の船旅を行うなかで、気候変動が環境と生態系にとって脅威であることはもちろん、平和に対する脅威であることを目の当たりにしてきました。最近の航海で訪れたフィリピンでは、例年にない大規模な台風で多くの家屋が破壊され、人々は劣悪な衛生状態での生活を余儀なくされています。南米のパタゴニアでは、船で訪れるたびに氷河が減少しており、人々の貴重な水源が脅かされています。
これらの被害を緩和し、気候変動への適応をすすめながら人間の安全を保障することは、一刻の猶予も許さない緊急の課題です。さらなる貧困、紛争、難民などを生み出す地球温暖化は「環境問題」という枠を越えた平和と人権の問題です。地球社会が危機意識と責任を共有し、連携して対処しない限り、解決はありえません。
COP15では、京都議定書の欠点や矛盾を克服し、より効果的で、さらに平和や人権を考慮に入れた形で、2013年以降の次期枠組の土台が合意されなければなりません。そのために私たちは、各国政府代表者たちが狭い意味での国益を越えた、地球規模の利益を尊重する、積極的で誠実な議論を展開することを期待しています。
日本の鳩山由紀夫首相は、2020年までに日本の温室効果ガスの排出量を1990年比で25%削減すると発表しました。ピースボートはこの積極姿勢を歓迎します。しかし、これを実現させていくための具体的な道筋はまだ示されていません。私たちは日本政府に対して、排出削減を確保するための国内の法と制度をしっかりと整備することを求めます。日本は、これまで大量の温室効果ガスを排出してきた国としての責任を果たすべきです。
地球温暖化問題の真の解決のためには、積極的な省エネ対策と並行して、化石燃料や原子力に依存しない、世界規模での持続可能な自然エネルギーへの転換が求められています。日本を含む各国が、この分野で先進的な取り組みに着手することを要請します。
私たち人類やすべての命の未来がかかったこの重要な会議で、各国が、合意づくりへの真剣な努力を行うことを強く願います。
2009年12月10日
ピースボート |