ガザ紛争:ゴールドストーン勧告の実現報告書に関する
共同要請書を日本政府に提出しました

 昨年末から行われた、イスラエル軍によるガザ侵攻に関して国連調査団がイスラエル軍の行動を非難する勧告を提出しました。これを受けた国連人権委員会では、10月16日にこの勧告を賛成多数で決議しました。

 投票の内訳は、25カ国が賛成、6カ国が反対、11カ国が棄権、5カ国が投票拒否です。アメリカは反対、英仏は無投票、日本は棄権しています。

 この賛成決議により、これから舞台はジュネーブからニューヨークに移り、国連総会そして安全保障理事会で議論されることになります。

 そのため、ピースボート及び、日本国内で活動するパレスチナ関係のNGO有志が集まり、

・日本政府の国連人権理事会決議での棄権理由の開示
・総会、安保理での調査報告書の支持

を求める下記の要請書を10月20日、日本政府に提出しました。
ガザ紛争:ゴールドストーン勧告の実現報告書に関する共同要請書

外務大臣 岡田 克也 殿

 日本政府に対し、パレスチナ・ガザ地区における人権侵害の責任追及と人権の回復のために、ゴールドストーン報告書を支持し、その勧告が実現するように力を尽くすことを要請します。

 2008年12月以降ガザ地区は、イスラエルによって攻撃を受け、約3週間で1400名余の人々が犠牲になり、その多くが子どもや女性を含む民間人でした。また、食糧、水、建設資材などに関係する非軍事施設も多数破壊されました。これだけの民間人の犠牲が出ているにも関わらず、イスラエル及びパレスチナ側の両者は適切な調査及び責任追及を行っておらず、深刻な人権侵害が不処罰のまま放置されています。

 国連人権理事会の委任に基づくゴールドストーン判事率いる国連独立調査団は、イスラエルの完全非協力のもとで、現地調査を含む国際人道・人権法違反に関する徹底した調査を行いました。同調査団は2009年9月15日、イスラエル及びパレスチナ武装勢力双方の行為が戦争犯罪に相当する(人道に対する罪に該当する可能性もあると指摘)と結論付ける報告書を国連人権理事会に提出しました。

 10月16日に行われた国連人権理事会第12回特別セッションは、同報告書を歓迎し、報告書に記載されたすべての勧告を支持するとともに、国連機関を含む関連機関に対して勧告をすみやかに実施するよう求める決議を賛成多数により採択しました。日本政府はこの決議に棄権しており、私たちは、日本政府が棄権したことに対し遺憾の意を表明します。イスラエル・パレスチナの紛争において、最も深刻な問題である人権侵害を放置したまま、真の和平を実現することはできません。これから行われる国連安全保障理事会及び国連総会では、日本政府は人権理事会で採択された決議を尊重し、より国際社会と協調し、国際法に基づく平和の実現を推し進める役割を期待されています。

 同報告書は、国連安全保障理事会に対して、以下の勧告をしています。

・国連安全保障理事会が、イスラエル政府に対し、同報告書の指摘する国際人権・人道法違反を3ヶ月以内に国際基準に則り調査し、その後3ヶ月以内に安全保障理事会に報告するように要求する。(報告書パラグラフ1969 (a)(i)(ii))

・国連安全保障理事会が専門家委員会を設置し、イスラエルによる調査の進捗状況をモニターし、報告する。(報告書パラグラフ1969 (b))

・イスラエルが上記の調査を6ヶ月以内に行わない場合は、国連安全保障理事会は、この問題を国際刑事裁判所に付託する。(報告書パラグラフ1969 (c))

 また、同報告書は国連総会に対しても、以下の勧告をしています。

・安全保障理事会が講じた同報告書の指摘する国際人権・人道法違反の責任追及に関する対策を、国連総会に報告するように要請する。(報告書パラグラフ1971 (a))

 国連総会は、平和のための結集決議377(V)における措置を含む、正義のために必要な追加措置を取る必要性を検討する。(報告書パラグラフ1971 (a))
10月16日の人権理事会決議は、特に、現在行われている国連総会において、ゴールドストーン報告について議論が行われるよう求めています。

 イスラエル・パレスチナにおける国際法による正義の実現と、それに基づく平和への道を確実なものとするためには、上記勧告の速やかな履行が必要です。日本は、国連総会の一員、そして安保理の非常任理事国として、問題の解決に積極的な役割を果たしうる立場にあります。

 よって、私たちは、日本政府に対し、10月16日の国連人権理事会第12回特別セッションにおいて日本政府が同報告書に関わる決議採択にあたり棄権した理由の開示を求めると共に、ゴールドストーン報告書とその勧告を討議する国連安全保障理事会及び国連総会において、上記勧告が適切に履行されるように積極的に働きかけることを要請します。

 また、ゴールドストーン報告書はイスラエル政府による今回の軍事作戦以前から続くガザ地区の封鎖を「集団的懲罰」に相当するとし、ジュネーブ条約に違反すると結論づけています(第4条約第23条及び第33条)。さらに、同報告書はイスラエル政府がガザ地区の封鎖を解除し、家屋の再建、住民に必要なサービスおよび経済活動のために必要な物流を許可し、国際人権基準に則ってガザ地区を含む被占領パレスチナ地域の移動の自由を認めるよう勧告しています(報告書パラグラフ1972(a)(d))。

 したがって私たちは、日本政府が、早急にガザ地区の封鎖を解除するようイスラエル政府に働きかけることを要請します。

2009年10月20日

共同要請団体

社団法人アムネスティ・インターナショナル日本
特定非営利活動法人 アーユス仏教国際協力ネットワーク
特定非営利活動法人 日本国際ボランティアセンター(JVC)
日本聖公会東京教区「エルサレム教区協働委員会」
日本YWCA
特定非営利活動法人パレスチナ子どものキャンペーン
パレスチナの子供の里親運動
ピースボート
特定非営利活動法人ヒューマンライツ・ナウ

複写送付:
鳩山由紀夫内閣総理大臣
外務省中東アフリカ局中東第一課
外務省総合外交政策局人権人道課
このリリースに関するお問い合わせは...
ピースボート事務局(担当:高橋)
(Tel:03-3363-7561/Fax:03-3363-7562/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
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