2009年8月18日、大韓民国の元大統領、金大中氏が逝去されました。金大中氏の冥福を祈り心より哀悼の意を表します。
ピースボートは日本政府が歴史事実を歪曲した1982年の歴史教科書問題をきっかけに発足しましたが、当時学生であった創設メンバーの数人は金大中氏救出運動、及び光州民衆抗争1周年の1981年5月に開催された「韓国民主化支援緊急世界大会」に事務局メンバーとして関わっていました。金大中氏の存在は常に軍事独裁政権と闘う韓国民主化運動のシンボルであり、その後の私たちの活動に多大な影響を与えました。
暗殺の危機、投獄、拉致、亡命など数々の苦難を乗り越え、大統領に就任された金大中氏は、韓国の民主主義と東アジアの平和の実現に大きな役割を果たされました。ピースボートは2001年8月に同一航路による朝鮮半島南北同時訪問を行いますが、これも前年6月に南北首脳会談の成功によって実現した歴史的航海でした。
現在、東アジア情勢は金大中政権のときに較べ厳しいものとなっていますが、朝鮮民主主義人民共和国に対して「平和共存の優先」「対話の推進」「民間交流の活性化」といった太陽政策を今こそ韓国も日本も再評価し、実践すべきときだと考えます。また、金大中政権の太陽政策は「日本の大衆文化の解禁」など日本にも向けられていました。韓国併合100周年に当たる来年こそ、日本政府が過去の植民地支配に対する反省を明確にし、日本軍「慰安婦」問題などの解決に具体的な施策を行うよう私たちも主体的に活動していく予定です。「奇跡は奇跡的には起こらない」という金大中氏が日本の国会で演説されたときの言葉を私たちも胸に秘め、東アジアと世界の平和を実現すべく努力していきたいと思います。
2009年8月19日
ピースボート
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