国連総会議長が「世界金融・経済危機と開発への影響についての国連会議」を開催するにあたり、私たちピースボートは、現在の金融・経済危機が開発に与える影響にとりくむプロセスを歓迎するとともに、世界中の地域社会と協力する中で私たちが聞いてきた市民の声をここにお伝えしたいと思います。
ピースボートは、定期的な「地球一周の船旅」を通して、主に北の国々が形作った現在の世界構造が、今日の危機、正確に言えば食糧、気候、エネルギー、貿易そして社会制度と金融制度を巻き込んだ複合的な危機をもたらしてきたことを目の当たりにしてきました。そして、それが世界中の何十億人もの人々に影響を与え、とりわけ、不公平にも南のの貧しい国々に打撃を与え、何百万もの人々を失業、貧困、飢饉へと追い込んできたことを目の当たりにしてきました。
今日の危機は、危機以前の状態に戻ったり、一時しのぎの対策をするだけでは解決できません。いま必要とされているのは、環境や貧困問題など、人類が直面している緊急課題を考慮した徹底的で根本的な国際制度の改革です。不平等をなくし、人々に恩恵を与え、地球全体の利益の役に立つような改革が必要なのです。
現在の世界金融危機を口実にして、先進国が国連ミレニアム目標を達成できないと主張することは許されません。各国政府は、今まで以上に、ミレニアム開発目標という長年の約束を行動に移し、その達成に向けてより一層の努力を重ねていかなければなりません。
そのためには、開発のための革新的な財源をつくりだすことに加え、既存の財源を効率的に使うことが不可欠です。
昨年日本で開催され3万人以上が集まった「9条世界会議」は、すべての人のための永続的で持続可能な繁栄と社会的正義を築くための第一歩として、国連憲章とミレニアム開発目標を含む国際公約を遵守するよう、各国政府に要請する宣言を発表しました。
国連憲章第26条は、「世界の人的および経済的資源を軍備のために転用することを最小化する」ことを求めています。私たちは各国政府に対して、支出の優先順位を再検討し、軍事費を縮小し、軍事予算の一部を持続可能な開発と平和促進のために再配分することを求めます。
このような規模の全世界的危機に対処するためには、これまでとりくんできた努力をはるかに超える、地球規模の解決策が求められます。私たちは、国際社会全体が団結し、事態の緊急性を認識し、危機を解決するために結集し、すべての人にとって平和で、公正で、持続可能な世界を築くために協力するよう求めます。
2009年6月24日 ピースボート |