|
世界有数の産油国ながら、国民の半数以上が「貧困層」と呼ばれる暮らしにあるベネズエラ。ここで、子どもたちに無料でクラシック音楽を教えることで、夢や目標を与える活動を続ける青少年オーケストラがある。ピースボートでは、第66回「地球一周の船旅」でベネズエラに寄港する際、オーケストラで使う楽器を届けることを決め、現在、中古の楽器などを募集している。
このオーケストラは、元ベネズエラ文化相のホセ・アントニオ・アブレウ氏のが提唱した、「エル・システマ」という、子どもたちに無料で楽器演奏などを教える音楽教育システムから始まったもの。
ベネズエラは、激しい貧富の差が社会問題となっており、貧困層の子どもたちは貧しさゆえに犯罪に走ってしまうことも少なくない。こうした社会情勢の中、クラシック音楽を通じて子どもたちを犯罪から遠ざけ、貧困から抜け出すきっかけを与えようと、1975年に始まったのが「エル・システマ」だ。
「エル・システマ」では、受講料も楽器のレンタルも無料。子どもたちは、普段は手にすることの出来ない楽器を借りて、音楽を学ぶ。当初はアブレウ氏と11人の受講生、計12人から始まったこのシステムは大きなうねりとなり、現在はベネズエラ国内に200をこえる児童・青少年オーケストラが誕生。30万もの子どもたちが音楽を学んでいる。
また、このシステムはベネズエラのみならず、南米を中心に20ヶ国以上に浸透。世界の子どもたちに、クラシック音楽を学ぶ機会を与えるものとなっている。
現在は、このシステムからプロの音楽家が生まれるケースもある。2009年秋から米国ロサンゼルス・フィルの音楽監督に就任する若手指揮者、グスターボ・ドダメル氏(28)もそのひとりだ。
大きなムーブメントを起こした青少年オーケストラだが、その規模から、子どもたちが使う楽器が不足。受講を希望しながらも、「楽器待ち」の状態となっている子どもも多いという。
ピースボートは、大型客船を用いて現地を訪れるという特性を生かし、これまでに2回、現地へバイオリンやチェロなどの楽器を届けた。同時に、青少年オーケストラとの交流プログラムも行っており、ピースボート寄港時にはクルーズ参加者有志でオーケストラを訪問。また、2008年12月に青少年オーケストラのトップ・チームにあたる「シモン・ボリバル・ユース・オーケストラ」が来日した際には、そのメンバーが東京・高田馬場のピースボートセンターを訪れ、演奏を披露した。
ピースボートでは、次回ベネズエラを訪問する、第66回「地球一周の船旅」でも青少年オーケストラを訪問し、交流プログラムを実施予定。これまで同様、子どもたちが使う楽器を贈りたいと考え、楽器を募集している。
募集締切は2009年3月末日。オーケストラで用いる弦楽器、管楽器、打楽器はもちろん、弦のみ、弓のみといった支援も受け付けている。楽器の送り方や送り先など詳細は、ピースボートUPA国際協力プロジェクトのページへ。 |
|
作曲家・池辺晋一郎さんからメッセージをいただきました
世界中の子どもたちに明るい未来を!──
ベネズエラの「エル・システマ」は、そのための力強い指針。このシステムで世界を牽引するのは間違いなくベネズエラ。あのすばらしい成果を知り、若きマエストロ・ドゥダメルの才能に出会えば、誰だってそう思います。だからまず、ベネズエラには頑張ってもらわなきゃ。世界中の子どもたちが楽器を奏し、豊かな心を育む時代を!そのためにみなで力を合わせましょう!
|
|
このリリースに関するお問い合わせは...
ピースボート・UPA国際協力プロジェクト(担当:合田)
(Tel:03-3362-6307/Fax:03-3362-6309/ウェブサイトからのお問い合せはこちら) |
|