2020年までに地球上から核兵器廃絶を
ピースボートが「平和市長会議」と連携

 今年9月、ピースボートは核兵器廃絶に向けて世界の各都市に協力を呼びかけている「平和市長会議」と連携。クルーズで寄港する都市で、平和市長会議への参加を呼びかける活動を9月23日に出航した第59回クルーズから各地で展開している。

 「平和市長会議」は、広島・長崎両市長から世界の市長にあてて始まった、核兵器廃絶に向けた都市レベルの連携をすすめる取り組み。1982年にニューヨークの国連本部で開催された「第2回国連軍縮特別総会」にて始まったもので、1991年には国連特別協議資格をもつNGOに認定されている。現在は122ヶ国・1793都市の市長が加盟(2007年10月4日現在)、核兵器の非人道性を訴え、核兵器廃絶への活動をすすめている。

 ピースボートではこれまでにも国内外の反核活動家や被爆者の方々を招いての洋上非核フォーラムの開催、太平洋核実験被害者との交流や核兵器保有国の若者を招いての核兵器軍縮教育、ニューヨークの国連本部、広島・長崎などで行われる会議等でのアピールなど、核兵器の廃絶にむけて、洋上や寄港地で様々な取り組みを行ってきた。

 また、ピースボートセンターひろしま(広島市中区)を中心に、若者への軍縮教育を提供することなど、日本国内でも核兵器廃絶への取り組みをすすめている。

 こうした中、船で世界をめぐるというピースボートの機動力を活かして、核兵器廃絶を進める具体的行動として、平和市長会議との連携を開始。第59回ピースボート「地球一周の船旅」から、寄港地となる各地の市長への呼びかけが始まった。

 第59回クルーズでは、これまでにダナン(ベトナム)、コーチン(インド)、ピレウス(ギリシア)などで市長を訪問。コーチン市長からの賛同表明を得るなど成果をあげている。今後訪れる寄港地や、続く60回以降のクルーズでもこうした取り組みを続けていき、その成果は当ウェブサイトなどで報告する予定だ。

 平和市長会議に関する詳細は http://www.mayorsforpeace.org/jp/ に記載されている。

インド コーチン市市長がピースボートの呼びかけにこたえ、
「平和市長会議」への賛同を表明


 10月10日、第59回ピースボート「地球一周の船旅」はコーチン市(インド・ケーララ州)に寄港し、メルシー・ウィリアムス市長と面会。核兵器廃絶のための都市ネットワーク「平和市長会議」への参加を呼びかけた。これに対し、市長は賛同を表明。また、市長会議同様ピースボートがすすめる「グローバル9条キャンペーン」についても高い関心を示し、武力と戦争の放棄をうたった憲法9条への支持も表した。

 コーチン市のあるインド・ケーララ州はインドの南西に位置する緑豊かな土地。10億人にのぼる人口を有し貧困や宗教対立といった問題を抱えるインド国内において、識字率や平均寿命は先進国並。また女性の社会参加や民主的な政治の実行などが活発に行われている州として、インド国内のみならず、世界からの注目を集めている。

 ピースボートでは、1996年にケーララ州・コーチン市に初寄港。以来、識字率向上のために子どもたちに向けて行われている教育プログラムや、女性の社会参加のための職業訓練などの取り組みを学ぶ交流プログラムを実施するなど、交流を続けてきた。

 今回、第59回クルーズでのコーチン寄港に際し、ピースボートはコーチン市市長のもとを表敬訪問。平和市長会議への参加を呼びかけた。これに対し、ピースボート寄港当日、市の訪問団がピースボート本船へ。ピースボートの活動に高い関心を示した市長らは、平和市長会議への参加を表明した。

ギリシア ピレウス市が「平和市長会議」に参加

 10月27日、ピースボートはピレウス(ギリシア)に寄港。

 アテネの外交都市として発展し「エーゲ海の窓口」とも言われるピレウス市では、ピースボートスタッフの井上直、ケン・ローズらが、パナジオティス・ファスーラス市長と面会。「平和市長会議」への加盟表明とともに、国立ラジオ局を通じてギリシア全土の都市へ市長会議への参加を呼びかける機会もいただいた。

 元プロバスケットボールの選手だったというだけに見上げるほどに背が高く、とても気さくなファスーラス市長。平和への思いも強く、日本国憲法9条についても強い関心を寄せた。

スペイン テルデ市が「平和市長会議」に参加

 スペイン最西端の島で、アフリカ北西部にほど近いグラン・カナリア島(カナリア諸島)テルデ市がピースボートの呼びかけに応じて、11月6日、平和市長会議に加盟した。

 同日寄港したピースボートからは、参加者有志がテルデ市を訪問。同市にある、日本国憲法9条を記した「9条の碑」を見学後、市庁舎を訪れた。そこで平和市長会議への参加を呼びかけ、フランシスコ・サンティアゴ市長が会議加盟への署名を行った。

 テルデ市にある「9条の碑」は、スペイン国内で米軍基地の撤退を求める運動が広がった1980年代に、当時の市長が日本国憲法9条に感銘を受けたことからつくられたもの。平和への願いをこめ、「ヒロシマ・ナガサキ広場」と名付けた広場に碑はおかれている。

 こうした取り組みから、テルデ市は核廃絶や平和への関心が高い都市で、市長からは会議への加盟のほか、'08年5月に日本で開催する「9条世界会議」への賛同もいただいた。

キューバ サンティアゴ・デ・クーバ市が「平和市長会議」に参加

 11月15日、ピースボートは約5年ぶりにキューバ、サンティアゴ・デ・クーバ市へ寄港。ピースボートスタッフの井上直らがルイス・イバネス・アランツ市長と面会し、平和市長会議加盟への署名をいただいた。

 市長が署名を行った部屋は、奇しくも50年前、カストロがキューバ革命に勝利した際にその姿を見せたバルコニーのある場所。現在のキューバの社会の始まったところとも言える場所への思いがけない訪問となった。

 今回のキューバ寄港では、カリブの豊かな自然を満喫するだけでなく、世界的な注目を集めるキューバの有機農業や医療システムの見学、野球交流など、さまざまなプログラムをおこなった。

タヒチ ファア市が「平和市長会議」に参加

 仏領ポリネシアに属するタヒチ。ここは、1966年から1996年まで計193回にもおよぶフランスによる核実験がおこなわれた場所だ。核実験が中止されてから10年以上がたつ今も、島民や新生児への放射能による健康被害が後を絶たないという。

 ピースボートではタヒチ寄港時には、こうした核の問題を検証するプログラムを実施。各被害への補償や、核兵器廃絶を求める活動をおこなってきた。

 12月15日、第59回ピースボート「地球一周の船旅」がタヒチへ寄港。今回の訪問では、ピースボートの要請を受け、仏領ポリネシア大統領であり、ファア市市長でもあるオスカー・テマル氏との面会が実現した。この面会の場で、市長は平和市長会議への加盟を承認。加盟への署名をいただいた。

 オスカー・テマル氏は、太平洋の非核・独立運動の中心を担ってきた人物のひとり。今回の会見と、平和市長会議への加盟は、今後も共同で核兵器廃絶をすすめる上での大きな一歩となる。

このリリースに関するお問い合わせは...
ピースボート事務局(担当:安原)
(Tel:03-3363-7561/Fax:03-3363-7562/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
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