7月5日早朝より、北朝鮮がテポドン2号など数次にわたるミサイル発射をし、さらに再発射する可能性もあるという報道が続いています。国際交流NGOピースボートは、東北アジアにおける歴史問題の解決と紛争予防にむけて努力を続ける立場から、多くの市民や関連諸国の憂慮にも関わらず北朝鮮がミサイル発射を強行したことに対して厳重抗議をするとともにミサイル再発射の即時中止を申し入れます。
日朝間および朝鮮半島の情勢が閉塞し、政治的緊張が高まるなかで、北朝鮮がじっさいにミサイルを発射したことは、当然ながら、北朝鮮の「主権」や「自衛」の問題としてのみ説明される問題ではなく、東北アジア地域の平和と安定にむけた相互協力を約束した日朝ピョンヤン宣言第四項および地域の永続的な平和と安定のための共同の努力を約束した6者協議共同声明第四項に大きく違反する行為です。また、今回の行為は、日朝国交正常化交渉再開や6者協議再開へむけたNGO含む関係諸国のさまざまな努力を無視し、関係国による対北朝鮮強行措置と北朝鮮脅威論にもとづく軍備拡張を促進させるなど、東北アジアの情勢を深刻に悪化させる行動と言わねばなりません。
一方、私たちは、関係諸国に対して対話による平和的な問題解決を強く求めます。軍事的威圧や対話なき制裁措置では、本質的な問題解決には向かわず、むしろ東北アジア地域の平和をさらに脅かし、破局的な状況に追いやる可能性が高まります。このようなときだからこそ、対話のチャンネルを維持・強化することで北朝鮮の真意を正しく把握し、粘り強い問題解決を求めなければなりません。日本政府を含め関係国の慎重かつ平和的な問題解決のための努力を求めます。
いま、私たち市民は、「本当の危機」とは何かということを冷静に考える必要があります。すなわち、日朝はじめ朝鮮半島を含むこの東北アジア地域において再び「戦争」が起こること、人々の平和が脅かされ人命が失われかねない状況に至るすべての軍事的・政治的行動こそ、この地域に暮らすあらゆる市民にとっての本当の危機であると考えます。国家と国家が対立するとき、つねに犠牲になってきたのは市民であることを今こそ思い起こすときです。すでに、国家と国家の狭間におかれた在日コリアンの人々が、ミサイル発射の報道以降、毎時不安に怯え、危機的日常にさらされていることを忘れてはなりません。
再度、私たちは、北朝鮮によるミサイル発射に対し厳重抗議し、いますぐ再発射を中止、対話による平和構築のための枠組みに戻ることを求めます。また、関係諸国に対して、対話による平和的解決にむけた努力を続けることを強く求めます。 |