核保有国の若者たちによる核廃絶への行動計画
「今後10年間の核軍縮行動計画」

 核兵器保有国7カ国の若者からなる私たちは、核兵器への依存がそれぞれの国また私たちが共有するたった一つの地球に対していかに損害となるかを知っています。私たちは、人間はさまざまな紛争を戦争なしに解決することができ、また平和な未来を創ることができると信じています。人間の発明の才をもって開発されてきた核技術は、人間が管理できる範囲を超えてしまっています。人間は過ちを犯しうる種ですが、核兵器に関しては一切の過ちが許されません。しかし、私たちは、過去の過ちから学び、敵対するものを許し、本来の人間の持つ慈悲に満ち、人々と物事を共有する生き方によって新しい世界を作ることができるのです。私たちは、人間の安全保障を最優先とし争いを超えていくことが人類にとっての次なる正しい道筋だと信じます。

 透明性を高めていくことは、政府と市民社会が軍縮の道のりに向けた信頼を築くことにつながります。現在の核の危機についての教育を通して人々の政治的意思を育てることができ、また核廃絶を恒久のものとする世界的な規範を作ることができます。すべての人類が核兵器の脅威とそれがもたらす惨状を理解すれば、世界中が核兵器の廃絶を望みまた支持するでしょう。

 アメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国は、残念ながら核不拡散条約第6条に示された核軍縮義務を履行していません。公式の核保有国がその義務を果たしていないだけではなく、インド、イスラエル、パキスタンは核兵器を開発し、核拡散の波は北朝鮮などの国にも及んでいます。私たちはこれらの核保有国に対して、計画を立て信頼醸成と軍縮への努力を開始することを求めます! 私たちは、世界中に暮らす人々また未だ生まれていない将来の世代をも代表して、被爆者を追悼しつつ、永続的な核軍縮を達成するためにいまこの瞬間から実行されるべき措置と策定されるべき計画を、以下の通り要求します。
今後2年以内に実行されるべき措置
先制使用政策の放棄。
すべての核兵器の警戒態勢解除および多国間によるその検証の開始。
包括的核実験禁止条約(CTBT)の批准・発効。
保有する核弾頭および核兵器に利用可能な核分裂性物質の数量・種類の完全申告。
東北アジアにおける非核地帯に向けた交渉開始。
イギリスおよびフランスによるヨーロッパ連合(EU)との核共用の禁止。
アメリカの戦術核兵器の欧州からの撤廃。
核兵器の使用、製造、研究および実験により被害を受けた人々に対する、国籍や居所に関係のない支援の提供。
宇宙兵器の研究と開発の停止。
計画すべき課題(今後2〜10年以内に実行に達成するもの)
兵器に利用可能なあらゆる放射性物質の生産停止および禁止。
すべての核実験場の閉鎖と環境回復(軍縮目的のものを除く)。
弾道ミサイル迎撃システムの研究・開発の停止および現存する弾道ミサイル迎撃システムの配備解除。
兵器に利用可能なあらゆる核分裂性物質(国家の貯蔵庫に含まれていないもの)の国際的保障措置の実施。
核弾頭および兵器に利用可能な核分裂性物質の数量・種類の公表における透明性ある検証プロセス。
非核地帯の拡大。
国際司法裁判所(ICJ)の勧告的意見が10周年を迎える2006年7月7日までに、核兵器廃絶条約の交渉開始のための特別グループをジュネーブ軍縮会議に設置する。
今後5年以内に実行されるべき措置
核兵器廃絶条約の確立。
核兵器の研究・開発の停止。
核兵器の研究・開発のための予算配分の停止。
環境回復技術の研究など核軍縮への拠出開始。
計画すべき課題(今後5〜10年以内に達成するもの)
核兵器の改良・生産の停止。
核兵器の改良・生産への予算配分の停止。
すべての核兵器生産施設の廃止・解体。
核軍備産業および核開発科学企業を、人間のニーズを満たすための機能へ転換すること(核軍縮の目的以外において)。
すべての核弾頭の核兵器からの撤去。すべての運搬手段の配備解除。厳格な国際管理下での多国間監視による貯蔵。
将来の世代を戦争の惨害から守るために、各国は、国連と協力し国際法を支持しつつ、集団安全保障を基礎とした新しい安全保障システムを確立しなければならない。
今後10年以内に実行されるべきステップ
核兵器廃絶条約の発効。
核兵器および核兵器に利用可能な物質の登録更新。
盗難および拡散防止のため、すべての核兵器に利用可能な物質を拡散不可能な形に転換し、放射性物質の隔離を行うこと。
核軍縮の達成を監視する独立した軍縮プロセス検査機関の設立。
市民による査察のような非政府部門による明確な検証措置を設立。
検証活動の国連に対する透明性ある年次報告。
巡航ミサイルや爆撃機のようなすべての汎用(核および非核の両方)物および技術に対する厳格な管理と検証。
核弾頭、運搬手段、核兵器利用に可能な物質および関連施設の生産と実験によって引き起こされた汚染の環境回復。
将来の世代への環境被害および健康被害を最小限に抑えるために有効な放射性廃棄物管理のための政策および制度の策定。
参考:
2年、5年、10年の措置の何点かは「エネルギー・環境研究所」(マリーランド・タコマパーク)が発表している「永続的な核軍縮を達成するために(Achieving Enduring Nuclear Disarmament)」から採用した(www.ieer.org)。

「実行すべき計画を立てよ!」(Dare to plan!) という形の要求は、核保有国に対して実質的な核軍縮プロセスのための計画を研究・発表せよというものであり、「アボリション・ナウ」キャンペーンから最初にから生まれた(www.abolitionnow.org)。
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ピースボート事務局(担当:川崎)
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