以下に署名した私たちは、朝鮮半島における核危機を深く憂慮してきました。私たちは、六者協議の再開が予定されていることを歓迎します。六者協議は、危機の即時・平和的・不可逆的な解決を実現するための諸国間の共通の土台になるべきです。
危機の解決は、当時国による同時的行動によってもたらされるべきです。すなわち、一方においては朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)が核兵器計画を完全に解体し核不拡散条約(NTP)体制へ復帰すべきであるとともに、他方においては、米国がDPRKに対する敵視政策を安全の保証などを通じて放棄すべきです。六者協議に参加している各国政府は、相互利益になるような形での解決を達成するための誘発材料を相互的に提供して対話と協力を促進すべきであり、朝鮮半島の平和と安定を脅かし当時国間の建設的な交渉の条件を害してしまうようないかなる行動も慎むべきです。
対話による平和的解決は、危機の解決のための基本的原則です。私たちは、関係国による軍事行動の威嚇や行使を認めません。1992年の朝鮮半島非核化共同宣言は、核兵器のない朝鮮半島をつくり出す基盤的合意となっています。私たちは、東北アジア非核地帯に向けた努力を強化していきます。朝鮮半島の非核化は、東北アジアに非核地帯を創設するための不可欠な要素です。
現在の核危機はまた、東北アジアに残る冷戦構造の表象として理解されるべきです。それゆえに、米朝間および日朝間の国交正常化や相互信頼に基づく地域諸国間の協力強化を通じて、冷戦構造を克服していくことが重要です。米国の核および軍事戦略や核兵器に依存した各国の安全保障政策など、この地域に核および軍事的な脅威をもたらしているすべての要因に対して真剣に取り組む必要があります。それらは、地域全体において調整された軍縮および非軍事化の行動によって置き換えられるべきです。この文脈において、日本の軍事化を止め日本国憲法9条を擁護するための措置がとられなければなりません。
私たちはここにおいて、六者協議と並行した市民社会フォーラムを立ち上げることを宣言します。そこにおいて私たちは、東北アジア非核地帯の実現に向けた革新的かつ柔軟な方法を追求していきます。東北アジアで危機を克服する実質的な前進があれば、中東や南アジアなど世界の他の地域における軍縮および安全保障強化をも後押しすることにもなります。これら困難を抱えた地域において非核地帯がつくられることは、世界的核不拡散体制の停滞を打開する糸口になりえます。
広島・長崎への原爆投下から60周年に当たる2005年、核兵器の本質的な非人道性を想起することが重要です。私たちは、核兵器を非正統化すべきであり、このような無差別大量殺戮兵器に依存した政策は非道徳的、無責任、非現実的かつ違法なものであることを認識すべきです。私たちは、この目標の達成に向けて国際社会の中で主導的役割を担っていく意思を改めて確認します。
署名者(2005年7月20日)
※カッコ内の団体名は、所属を表すためだけのものです。
ジャクリーン・カバッソ(西部諸州法律家財団、アボリション2000、平和正義連合/米国)
チェ・キジャ(日本軍性奴隷被連行女性評議会/韓国)
チュン・ジュジン(ワールドビジョン・アジア太平洋/韓国)
エンクサイカン・ジャルガルサイカン(モンゴル戦略研究所/モンゴル)
エミー・フィネガン(NGO軍縮委員会/米国)
バディム・ガポネンコ(海事大学国際研究センター/ロシア)
ジャン・ジョンドル(日本軍性奴隷被連行女性評議会/韓国)
チョン・ギョンラン(平和をつくる女性の会/韓国)
バレリー・カオ(NGO軍縮委員会/米国)
川崎哲(ピースボート/日本)
君島東彦(非暴力平和隊、立命館大学/日本)
児玉克也(三重大学/日本)
イ・ヒュンスク(韓国赤十字/韓国)
松井ケティ(平和教育世界キャンペーン/日本)
牛強(中国平和軍縮人民協会/中国)
沈丁立(復旦大学国際研究所/中国)
シム・ヨンヒ(平和をつくる女性の会/韓国)
ヤン・ミガン(アジア平和歴史教育ネットワーク/韓国)
吉岡達也(ピースボート/日本) |