連日、中国における「反日」デモが報道されています。町村信孝外相は中国での「反日」デモによる日本人や日本の公館などの被害に対し、中国政府に謝罪と補償を求め、「一言陳謝の意があれば、日本人の気持ちもよりよい方向に転換される」と述べています。また、日本のメディア報道では、「反日」デモによる日本人の被害ばかりを報道し、かつて日本軍が中国に対して何をしたのかという根本的原因については触れていません。
ピースボートではこの問題について多くの市民に考えてもらおうと、以下の日時でデモを行います。
そもそも中国で「反日」デモが広がったのは、小泉首相が過去の侵略戦争の責任者が祀られている靖国神社を参拝したり、日本のアジア諸国に対する侵略戦争や植民地支配を正当化する歴史教科書を文部科学省が検定で合格させたことが発端です。1972年の日中共同声明では、「過去において日本国が戦争を通して中国国民に重大な損害を与えたことについての責任を痛感し、深く反省する」という文言が謳われています。過去の侵略戦争に対する反省は日中国交正常化の大前提であったはずです。中国人が日本軍に殺されたり、生物化学兵器の人体実験の対象にされたりといった話を、日頃おじいちゃんやおばあちゃんから聞いて育った中国の若い世代が日本の侵略戦争を正当化する教科書を許せるでしょうか。戦争は過去のことでも歴史教科書の記載内容は現在の問題です。ヒロシマ、ナガサキの悲劇(被害者は日本人だけではありません)を忘れないことが重要なのと同様に、日本軍がかつて中国で行ったこともきっちりと日本の教科書に記載して日本の子どもたちに教えることが、未来に同じ過ちを繰り返さないために必要なのだと考えています。
人を殴っておいて、その殴られた人が怒ったとき、「もっと冷静になろうよ」と殴った側が言うのはおかしいと思いませんか? 日本の市民が今なすべきことは、まず日本政府に中国政府と中国の市民に謝罪させることであり、そして、過去の日本の侵略戦争を正当化する扶桑社の教科書の検定合格を撤回させ、今後、小泉首相に靖国神社への参拝を取りやめさせることです。
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