歴史教科書検定公開前日
GPPAC・武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ
東北・東南アジアネットワークからの緊急声明

「つくる会の歴史教科書検定合格に反対します」
 2005年は太平洋戦争終結後、またアジア諸国が日本占領から独立して60年目に当たります。この象徴的にも重要な年を、過去における苦悩と歴史の傷を克服する新しい時代への幕開けにしようと、東北アジア地域は共に歩もうとしています。しかしながら、近年の日本歴史教科書論争は東北アジアの地域に不必要な緊張を生み出しています。平和は一方からの歩み寄りによってではなく、近隣の国々が協力することによって初めて到達されるものです。東北アジアにおける平和構築は困難ではありますが、決して不可能ではありません。それゆえに、私たち東北アジア市民団体は歴史教科書問題に非常に関心を寄せているのです。

 2001年、『新しい歴史教科書をつくる会(つくる会)』によって作成された歪曲された歴史教科書が、つくる会や日本の侵略戦争や植民地主義を正当化する他のグループ・団体の根強い宣伝活動にも関わらず、学校の教科書としてあまり採択されなかったのは、日本、韓国およびアジア諸国の市民団体がもたらした非常に有益な結果です。しかしながら、2005年、つくる会が作成した教科書が検定に再び合格しようとしており、2001年に市民社会団体がもたらした成果も今や脅かされています。2001年に発表されたつくる会の作った新しい教科書には日本の韓国併合(1910-1945)に関しての記事、特に日本軍「慰安婦」や強制労働などの問題が意図的に省かれています。そのため、その歴史教科書では日本の侵略戦争を西洋の支配からアジアを解放する手段として美化し、正当化しています。

 日本の侵略戦争や植民地主義を正当化する他のグループ・団体による歴史歪曲が自衛隊の海外派遣や日本の平和憲法改定に直接に関わっていることはよく知られることです。過去の過ちを真摯に認め、謝罪することなしに、残忍な歴史を無条件に美化することで日本に名誉がもたらされるはずはありません。日本が近隣諸国に与えた被害を無視するならば、それは無視を決め込んでいるだけにすぎません。

 私たち東北アジア市民団体は地域の平和と人権のために努力し、日本が平和の国に生まれ変われるよう望みます。そして現在の教科書問題が地域に対立や緊張を広げないように望んでいます。太平洋戦争終結後60年に際し、近隣諸国条項(82年に文部省【当時】が定めた)に基づいて日本政府が、歴史教科書問題・歴史の歪曲問題の迅速な解決に向けて取り組むように強く要求します。
1. 歴史歪曲を含むつくる会の歴史教科書が教科書検定に合格することに強く反対します。
2. たとえ、つくる会の歴史教科書が検定合格となった場合でも、公的私的を問わず日本の教育現場でのつくる会の歴史教科書を使用することに強く反対します。採択しないことを強く要求します。
3. 過去の過ちを清算せずに日本が安全保障理事会の常任理事国に加わることに強く反対します。
4. 日本政府が過去の過ちを謙虚に認め、歴史事実を正確に認めることを要求します。
5. 日本政府が、国際社会に通用するような平和教育と人権教育を保障することを要求します。
6. 東北アジアにおける紛争予防の手段として日本国憲法9条を守ることを要求します。
7. 東北アジアの市民団体と協調しながら、歴史正義の理解促進を応援します。
GPPAC東北アジア事務局・ピースボート

GPPAC東北アジア地域運営グループ
平和を創る女性の会(ソウル)/アジア平和連合(香港)/香港教職員連盟(香港)
台湾ピースタイムファンデーション(台北)/国立海洋大学(ウラジオストック)
中国国際NGO協会CANGO (北京)/南京大虐殺博物館(南京)
復旦大学アメリカ研究(上海)/モンゴル戦略研究センター(ウランバートル)
非暴力平和隊(東京)/反差別国際運動事務局IMADR (東京)

GPPAC東南アジア事務局
国際対話のためのイニシアチブ(ダバオ)


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ピースボート事務局(担当:渡辺)
(Tel:03-3363-7561/Fax:03-3363-7562/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
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