私たちは、本日12月9日の臨時閣議で自衛隊派遣が1年間延長されたことに抗議し、イラクからの即時撤退を求めます。
イラクでは昨年の日本人外交官、奥克彦参事官と井上正盛書記官の衝撃的な殺害事件を皮切りに、今年4月のNGO活動家の高遠菜穂子さん、今井紀明さん、ジャーナリストの郡山総一郎さん、安田純平さん、渡辺修孝さんの日本人人質事件。さらに民間人として初めて犠牲となったジャーナリストの橋田信介さん、小川功太郎さんの殺害事件、そしてこの10月、人質となったの香田証生さんの痛ましすぎる殺害と、耐えがたい悲劇が発生してきました。これらの事件の主な原因が、自衛隊のイラク派兵であり、小泉政権のイラク軍事占領を続ける米国へのただひたすらの追従政策であり、人命軽視政策にあることは明らかです。
女性や子供たちを含む、多くの一般市民を犠牲にしたファルージャへの攻撃をはじめとして、米軍の攻撃で犠牲となる人々、また、米軍に対する報復攻撃の巻き添えとなって命を落とすイラクの人々は急速に増え続けています。それとともに米国の軍事占領に加担している日本の自衛隊や日本人への敵意も高まってきています。現地の人々が本当に求めている復興支援は、米軍を支援する形でイラクに駐留を続ける自衛隊によって実現することはできません。そして自衛隊の派兵そのものが政府が語る「国際貢献」などというものではなく「ブッシュ政権への貢献」以外の何ものでもないです。
このような情勢を受けて、スペイン、フィリピン、ハンガリー、そしてオランダなどの各国が相次いで撤退を決定して実行に移しています。
しかし日本政府は自衛隊の撤退期限が迫る中で、あわてて代表をイラクに送り、わずか5、6時間ほどの視察で「サマワは安全であり、非戦闘地域」と判断し、「自衛隊がもう1年安全に活動できることを確認した」としました。
ここで撤退せずに駐留を続けると宣言することは、これまでの犠牲を無視し、これからも民間人、自衛隊員を含め多くの日本市民を巻き込む殺戮の発生を覚悟するということであり、同時にイラク市民、その他の国々の市民の犠牲を厭わないという宣言なのです。
そしてそれはとりもなおさず、日本市民、そしてイラク市民を含め人間の命よりもブッシュ政権への忠誠心を優先するという非人道的、非人間的選択なのです。
私たちは日本に暮らす市民として、即刻、閣議了解を取り消し、当初の期限通り12月14日に自衛隊を撤退させることを政府に強く求めます。一日も早く、この虚偽と不正義によって塗り固められたイラク戦争への加担をやめ、憲法九条を遵守し、米軍を含む外国軍のイラク早期撤退を国際社会の一員として推し進めていくことこそが、イラク市民との信頼関係を回復し、イラクにおける真の平和実現への貢献だと確信するからです。 |