私たちは、今回のイラク復興信託基金ドナー会議へ、NGOの参加が認められないことに対して、強い怒りと失望を感じています。一昨年行われたアフガン復興国際会議において、外務省が国際会議へのNGOの参加を取り消したいわゆる「NGO拒否問題」では、このNGOを国際会議に入れさせない問題が外務大臣と外務事務次官の更迭にまで発展しました。その後、この一連の事件の真相が日本国民に明らかにされないまま、今日に至り今度はイラク復興支援において、同じ過ちを繰り返す日本政府に対して、私たちは強い失望を感じると共に日本の民主主義の危機を訴えます。
NGOが主導となって、緊急救援、復興支援、平和構築、人権擁護、開発援助などを行っていくことは、今や世界のスタンダードであり、国家のタテ型官僚機構だけでは急速に進むグローバリゼーションに対応することはできなくなっているのは明らかです。国境を越えたヨコ型NGOネットワークが、多様性を受け入れない、閉ざされた上意下達型の官僚機構よりも役割を果たす時代になったことは、先の「イラク邦人人質事件」における、NGOの情報量と活躍を見れば明らかです。
そんな中、イラク復興に関わる、重大なドナー問題に関して、人道支援の最先端を担っているNGOがその会議に参加できないことは、世界の潮流に逆行していると同時に、そもそもこのような形で行われる政府主導の会議が、本当にイラクの人々に受け入れられるか強い疑問を感じます。速やかに政府は、NGOを会議に参加させた上で、充分な対話と情報公開を行い、その大前提としては、イラクにおける各国による軍事占領こそを終わらせた上での人道復興支援を検討すべきだと考えます。
最後に主催国である日本政府は、日本国憲法9条を礎とした非軍事的貢献を各国政府に働きかけて行くことこそ、イラクやアフガニスタンでの悲劇を二度と繰り返さないための根本原理であると私たちは考えます。日本政府は各国代表に対し、日本国憲法第9条の存在とその理念をアピールし、NGOと政府が対等なパートナーシップを結んで人道復興支援に望むべきだと考えます。
2004年10月12日
ピースボート共同代表
中原 大弐
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