石破防衛庁長官殿
私たちの「イラクへの自衛隊派兵中止を求めるNGO緊急声明」に対して「自衛隊派遣には、我が国の国益の観点からも、歴史上の意味においても、極めて重要な意義」があるとの回答を長官からいただいたその時、奇しくもスペインのマドリードで「歴史的」大惨事が起こりました。そして、1500人以上の市民が負傷し、約200人の市民が命を奪われました。
昨年12月、奧氏、井上氏という二人の日本人外交官殺害という誠に痛ましい事態を受け、緊急声明で私たちはが訴えたこと、すなわち「米英軍中心の軍事占領に積極的協力を続けること」が「民間人をも含めテロ組織の標的となる可能性を確実に高めている」という警鐘が日本と立場を同じくするスペインにおいて、まさに現実となってしまったのです。
このような事態のなか、スペイン政府はスペイン軍のイラクからの撤収を宣言しました。にもかかわらず、日本政府は自衛隊のイラク派兵を押し進めております。
外国軍のによるイラク占領こそがテロの原因であることは明らかです。日本がスペイン同様、テロ攻撃の標的として名を挙げられているのもイラクへの自衛隊派兵がその理由です。日本政府はマドリードの悲劇を日本で起こさないために、テロを根絶するためにも自衛隊を一日も早く帰国させるべきだと私たちは考えます。
もしも日本で同様のテロ事件が起こり、多くの市民が犠牲となったならば、その惨事を防ぐことができなかった石破長官は、防衛庁長官として、政治家として、そして人としてどのような責任を取られるのか。お答え下さい。
長官は緊急声明への回答のなかで、イラクの人々への復興支援、国際社会の一員としての責務遂行、石油の確保、米国との同盟関係強化の四点を自衛隊派遣の意義として述べられております。
しかし、このいずれの意義についても、多大な人命の犠牲を前提として行われるべきではないと私たちは考えます。まずは、「至上の価値」である人命を守り、そして自由と民主主義と人権と平和主義の礎たる日本国憲法を遵守すること。そして国際社会と協調し、国連と協力して、非武装非暴力に徹しイラクの人々の復興支援を行うこと、それこそが日本政府および日本の市民の責務ではないでしょうか。
私たちピースボートは、スペインでの大惨事という事態を受け、以下の6点を日本政府および石破防衛庁長官に強く要求します。
1.全ての自衛隊員のイラクからの即時帰国
2.米英連合軍中心の占領体制に対する協力停止
3.少数民族を含めイラクに暮らす人々が望む復興支援
4.復興支援への国連との連携強化
5.NGOのイラク復興支援活動に対する全面協力と支援
6.スペインでの列車爆破事件犠牲者、負傷者への人道支援 |