米国が国連を無視し、世界市民の声を無視して行ったイラク侵攻は、多くの人間の命を奪いました。そして、現在も米軍が使用した劣化ウラン弾やクラスター爆弾などによって、子どもや女性を含むイラク市民の命が奪われています。米政府がイラク戦争前に示した、「大量破壊兵器保有」を裏付ける証拠は、いまだ確認されていないばかりか、イラク全域では占領軍への攻撃が続き、イラクの治安は悪化の一途をたどっているのは明白な事実です。
そのような状況下、昨日の日米首脳会談において、ジョージ・W・ブッシュ米国大統領と小泉純一郎日本国首相との間で合意された、日本政府の対イラク復興支援策について、国際NGOピースボートは強く反対の声を上げます。イラクへの自衛隊派遣と、占領統治に対する15億ドルもの巨額資金拠出は、米英軍による一方的な軍事侵攻の後始末に他ならず、イラクに対する「人道支援」とは到底呼べないものであるばかりか、明らかな日本国憲法違反だと考えます。
自衛隊のイラク派遣は、世界の中で最大の軍事力を誇る米国と、それに続く力を保有する日本が、まさに軍事力によってイラク市民を占領統治することを意味します。これは、日本が今回のイラク侵攻と占領を正当化し、米英軍の軍事行動を、将来的にも支持するということを、国際社会に指し示す行為であります。いまイラクにおいて本当に必要なことは、まず、占領状態を終わらせ、治安を回復することです。そして、戦争における被害の実態調査を行い、イラクの人々の生活再建のために何が必要かを明らかにすることです。そして、このプロセスの中心を担うべきなのはあくまでイラク国民であり、国連およびNGOは、その側面支援を行うべきです。
現在の米国による誤った外交政策と、それに対する日本政府の無責任な追従の結果、朝鮮半島をめぐる核危機は際限なくエスカレートし、中東では暴力の連鎖が続いています。こうした事態を、私たちはこれ以上放置することはできません。
私たちは断固として、イラク市民の基本的人権を無視し、軍事力によってイラクを占領するための自衛隊派遣に反対します。私たちの税金が、イラク軍事占領に使われることを、絶対に許すわけにはいきません。
そして、私たちは日本が「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」と定めた憲法を有することを誇りに思います。私たちは人類の理想であるところの恒久平和を願う地球市民として、軍事力ではない、市民レベルでの復興支援活動を、日本国憲法第9条の理念をもとに、国際的に呼びかけたいと思います。私たちは戦争、紛争のない、平和な社会を切に望みます。 |