国際交流NGO、ピースボートは8月19日に起こったイラクの首都バグダッドでの国連本部に対する「自爆攻撃」を強く非難します。この攻撃は許し難い犯罪であると同時に国連ひいてはイラク市民を支援していこうと努力している国際社会にとっても非常に大きな打撃です。
5ヶ月前、国連安全保障理事会での決議なしに、そして世界の市民の反戦の声や平和への願いを踏みにじり米・英の連合軍はイラクに侵攻しました。そして、それによって生じた暴力的な混乱の中、国連はイラク市民の生活を建て直すための支援活動をおこなっています。ピースボートはそのような国連の努力に対して敬意を払うとともに支持をしてきました。
今回の爆破事件の最大の悲劇は、イラク市民のためにイラクの再建と人道支援に力を注いでこられた方々が、特にその責任者が犠牲となったことです。セルジオ・デ・メロ事務総長特別代表の死は、国連とイラク市民のみならず、「人権と平和」を求め活動する世界中の人々にとって計り知れない損失です。
デ・メロ氏は、これまでさまざまな紛争地を訪れ、現地で難民、避難民、そして人権を侵害された人々を保護し、その支援活動に尽力してこられました。
また、ピースボートが2000年夏、人道支援を目的に東ティモール・ディリを訪れた際には、国連東ティモール暫定行政機構(UNTAET)事務総長特別代表として、私たちをあたたかく迎えてくださいました。そして、ピースボートで現地を訪問した約500名の参加者に対し「東ティモール、ひいては世界に平和をもたらすためには国連こそが先頭に立って努力をしていく必要がある」という力強いスピーチをされました。その中でデ・メロ氏は、ピースボートの活動も含め市民による平和活動や民間外交の意義も強調されるとともに、国連とNGOが協力して平和や人権のための活動を行うことの重要性をも訴えられました。私たちは、この示唆富んだ印象深い東チモールでのスピーチとともに、デ・メロ氏とその平和への貢献を永遠に記憶いたします。
あらためて私たちはイラク国連本部爆破事件で犠牲となったすべて方々、そのご家族の方々に心からお悔やみを申し上げます。私たちはこの悲劇を決して忘れず、これからもイラクにおける国連の支援活動を応援していきたいと思います。そして、イラク市民にとっての真なる独立と平和実現のため、非軍事的手段で支援活動を続けておられるすべての方々に対し、心からの支持をここに表明いたします。
2003年8月20日(水) |