バレンタインデーは「東京都庁」へ行こう――ピースボートは2月14日、「バレンタイン大作戦2003」を実施。石原慎太郎・東京都知事に大きなチョコレートを届けようと、新宿にある都庁を訪れた。
これは一昨年、都知事が週刊誌上で「女性が生殖能力を失っても生きているってのは無駄」「文明がもたらした最も大きな弊害はババァ」などと発言したことに対する抗議のアピール。昨年12月、この発言の撤回と謝罪を求めて提訴した「原告団」からも数名がこのアピールに参加した。
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また、都知事がこの発言について釈明した際に、映画『楢山節考』の「子どもが親を捨てにいく」というストーリーを持ち出したことにちなみ、都知事の似顔絵を被った参加者が背負われていくという内容のパフォーマンスもおこなった。
この日渡すチョコレートは、ピースボートのボランティアスタッフらによる手作り(板チョコ約20枚分、約1.5s)。
14時すぎ、「素直に謝るアナタが好き」などのプラカードを持った一行は、都庁前広場に到着。石原都知事への面会とチョコレートを届けられるよう求めた結果、ピースボートスタッフの野平晋作(38)ら3名によって、抗議文とともに都の担当職員に手渡すことができた。このチョコレートは、週明けには都知事のもとへ届けられるという。 |
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石原都知事へのレター |
愛しの石原慎太郎東京都知事 様
今日は待ちに待ったバレンタインデーです。そこで、日ごろよりあなたに伝えたかった思いを、おもいきって告白することにしました。
あなたは昨年末にこのようなことをおっしゃいましたね。
「文明がもたらした最も悪しき有害なものはババァ」だと。そして「女性が生殖能力を失っても生きてるってのは無駄で罪」であり、「きんさん、ぎんさんの年まで生きてるってのは地球にとって非常に悪しき弊害」であると。
奥ゆかしいあなたは、これら一連の「ババア発言」をあくまで物理学者の松井孝典氏の言葉の引用、という形でおっしゃっておられました。けれども、わざわざこの部分を引用しておいて「なるほどと思った」と感心しておいでのあなたの発言には、本当は自分の言葉として言いたくて仕方がないという本音がよく表れています。この記事を読むかぎり、世間の人はあなた自身が言いたいことなのだと理解していますよ。
また、あなた自身の言葉としては「『うば捨て山』の話は、年をとった女性がかなり横暴な存在であることを逆説的に示す証拠」であるともおっしゃいました。
都知事という公職にあるあなたのこのような発言は、女性の生きる価値を、生殖機能だけにあるとした言葉の暴力です。もちろん、憲法に定められた「両性の平等」の理念にも反しています。あなたは自分の発言で高齢な女性や、子どものいない女性がどんなに傷ついたかということに気づいていないのでしょうか?。
さて、あなたは次の都知事選にも出馬を考えられているそうですね。確かにいつもあなたの選挙の応援にくる石原軍団の方々、特に館ヒロシさんはとてもダンディで素敵です…。でも、あなたのこの発言にたくさんの批判がされているにも関わらず、あなた自身は撤回も謝罪もせずそのままにしています。自分の言葉に責任を持てないそんな人にこのまま東京都の政治の責任者になっていてほしくはありません。
ですから今日は、あなたが自分の発言を撤回して、素直に謝っていただけるように、愛を込めて特製のチョコレートをつくってきました。このハート型のチョコの味をかみしめながら、あなたがどれだけたくさんの女性のハートを傷つけたのか実感していただけることを、心より願っています。ホワイトデーにあなたはきっと、発言の撤回と謝罪という形でお返ししてくれますよね。そんなあなたが大好きです。どうぞ大きな愛をお受け取ってください。
2003年2月14日 |
ピースボート有志より |
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