小泉首相訪朝に向けてのピースボート声明

 国際交流NGOピースボートは、東アジアにおける平和と友好のため、市民・NGOの直接交流と対話の拡大をめざし、この8月、日本人および在日韓国人、在日朝鮮人など日本に暮らす約550人の市民が参加した南北コリア、サハリン、国後島への船旅を行いました。

 特に、朝鮮民主主義人民共和国へは1991年以来、5回度目の訪問であり、NGOピースボートで朝鮮民主主義人民共和国を訪れた人数は延べ約2000名を数えます。現地では、様々な民間レベルの交流を成功裏に行うとともに、朝鮮と日本に暮らす人々どうしの相互理解と信頼醸造をこれまで以上に促進させることができたと考えています。

 そして、奇しくも、このピースボートの訪問団が東京晴海港に帰港した8月30日、小泉首相が訪朝するという歴史的発表がされました。私たちは、初めて訪朝した1991年以来、11年間の間、さまざまな政治状況にも関わらず民間レベルの交流を続け、教科書問題、従軍慰安婦問題などと真摯に向き合い、一貫して日朝国交正常化問題に取り組んできたわけですが、その成果が微細ながらも今回の首相訪朝の実現に寄与したものと自負しております。

 私たちは、日朝国交正常化交渉再開をめざした小泉首相による訪朝を支持します。

 しかし、同時に、この訪朝に際し、アジアにおける平和と日朝両国民の心からの和解を一日も早く実現するために、以下の諸点について積極的な話し合いが成され、具体的な成果がもたらされることを強く願います。
(1) 日朝国交正常化と政治状況に左右されない市民・NGO間の交流促進
(2) 未来の世代に禍根を残さないための日本の過去の侵略および植民地支配に対する公式の謝罪と清算。また、戦争被害者である強制連行労働者、元従軍慰安婦、朝鮮人被爆者問題などの早期解決
(3) いわゆる拉致疑惑、不審船問題などの早急な解決
(4) 食糧支援を含む包括的な人道的援助の実施
(5) 平和的方法による朝鮮半島の統一にむけての多角的支援
(6) 東北アジアおける平和構築のための非核地帯建設
(7) 日朝市民の和解と信頼醸成に不可欠な「共通の歴史認識」の確立と共通の歴史教科書をつくるための公的機関の設置
2002年9月16日
国際交流NGOピースボート
共同代表 吉岡達也
櫛渕万里


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ピースボート東京事務局(Tel:03-3363-7561/ウェブサイトからのお問い合せはこちら)
担当:中原大弐まで
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