1月21日(月)正午から品川駅前で行われる、「アフガニスタン難民の即時釈放を」求めるキャンペーンの際、以下の手紙を、NGO、弁護士の立場から、アフガン復興支援閣僚会議共同議長・緒方貞子さんあてに申し入れという形で行います。
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アフガン復興支援閣僚会議議長 緒方 貞子様
拝啓
アフガニスタン復興支援閣僚会議長という大役、ご多忙の日々と存じます。
さて、現在の国際社会の中で、アフガニスタン復興に平和憲法を掲げる日本がなすべきことは人道的平和的貢献であるということは日本政府、NGOともに一致した認識ではないかと思います。その前提に立った上で、私たちは世界各地で難民問題に取り組んできたNGOのひとつとして、またアフガニスタン難民の人権問題に取り組んできた弁護士として、急を要する以下の四点を緒方様に訴えるべくこのような形でお手紙いたしました。
1,アフガニスタン空爆の即時停止
まず第一に、現在もアフガニスタンで続いている空爆の即時停止を復興会議において米英両国に訴えていただきたいということです。ご存じのように現在のアフガニスタンの荒廃は、これまでの飢餓や干ばつなどの自然現象によるものとかつての内戦の爪痕だけではありません。今現在も続く空爆による民間人の犠牲、住居・市街地・インフラストラクチャーの破壊、非人道的な大量殺戮兵器クラスター爆弾による不発弾の激増などが復興を阻む大きな障害となっています。復興と空爆が両立しないことは自明のことだと私たちは考えます。
2,アフガニスタン難民の人権擁護と受け入れ拡大
次に、復興会議として各国にアフガン難民の人権擁護と受け入れ拡大を訴えていただきたいということがあります。国連難民高等弁務官として世界の難民問題に取り組まれ、比類なき功績を残された緒方様以上にこの問題を訴えていただくにふさわしい方はおられません。特に、日本国内で不当に収容されつづけている「アフガン難民申請者」の釈放を、是非とも日本政府に強く訴えていただきたいと存じます。自らの住所等を日本政府に明らかにし、政府の出頭要請に応じていた難民申請者を収容することは明らかに難民条約に違反です。
一方でアフガン復興を声高に叫び、他方でアフガン難民の人権を蹂躙する日本政府の姿勢は国際社会から二枚舌外交と指弾されてもしかたがないものだと思います。本日は、茨城県牛久にある東日本入国管理センターに収容されている19人の難民申請者の方々からの、日本政府に対するメッセージも持参いたしました。是非、お渡しいただければと存じます。
3,NGO・メディアに開かれたアフガニスタン復興会議を!
第三にこの会議を広くNGO、そしてメディアに開かれたものにしていただきたいというお願いです。今回の会議には、日本の外務省が指名した特定のNGOしか参加できなくなり、そのため、長年、アフガニスタンで難民や市民を支援してきた貴重な経験を持ついくつかのNGOも参加がかないませんでした。さらにメディアまでが排除されています。しかし、このような日本全体にとって重要な会議が、政府主導でNGOを選別し、政府方針と異なる考えを持つNGOを排除することを前提としたものとなり、さらにメディアまで排除するならば、それは民主主義の根幹に関わる由々しき事態ではないでしょうか。私たちは、94年に行われたカンボジア復興会議のようなNGOに広く開かれた、民主的なアフガン復興会議を、日本政府、そして今回の会議に参加する各国閣僚に強く訴えたいと存じます。
4,憲法を尊重した復興支援を!
最後に、日本国憲法9条を礎とし、「自衛隊」という名の軍隊を派遣しない平和的復興支援を日本政府に働きかけていただきたいと存じます。「自衛隊」を必要としない復興支援はいくらでもあり、国際社会の日本への期待もまさに非軍事的貢献であることは明らかです。9条の理念は、アフガニスタンでの悲劇を二度と繰り返さないための根本原理であることは自明です。是非とも各国閣僚の方々に、9条の存在とその理念をご理解いただけくようよろしくお願いいたします。
勝手なことばかりを書き連ねましたが、いずれも今回のアフガニスタン復興支援閣僚会議の成功を願えばこその提言であることをご理解下さい。私たちはNGO、弁護士としての現場でアフガニスタンの人々が安心して暮らせる日を1日も早く実現するため鋭意努力していく所存でおります。今後ともご協力よろしくお願いいたします。
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敬具
2002年1月21日
ピースボート共同代表 中原 大弐
弁護士 土井 香苗 |
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