1月10日午後、新宿区高田馬場ノークビルにて、ピースボート主催の緊急記者会見を行った。これは、同日に拓殖大学で行ったフジモリ前ペルー大統領の講演会に反対し、即時帰国を求めるもの。昨年以来、(社)アムネスティ・インターナショナル日本、ペルー民主化ネットワークなどのメンバーとともに行っているキャンペーンで、国際メディアを中心に数多くの報道陣が詰めかけた。
この日、拓殖大学で行われたフジモリ氏の演題は、「回想 テロリズムとの戦い」。前政権時代にペルー国内で行った、ペルーのゲリラ組織「センデロ・ルミロソ」との戦いを引き合い出し、「テロは武力を使ってでも撲滅すべきだ」と主張。当時のビデオ映像を交えた公開講演を行った。しかし、焦点となった96年の日本大使公邸占拠事件のことには一切触れず、質疑応答もないま終了した。
緊急記者会見に出席したピースボート共同代表の吉岡達也は、「フジモリ氏の講演会の内容は、テロ撲滅のためには、アフガニスタンの空爆も正当化されるというもので、これは一般市民で犠牲になった人々の人権を全く無視している」と批判。
また、小倉英敬さん(前ペルー大使館職員、国際基督教大学講師)は、「フジモリ氏の日本大使公邸占拠事件での武力解決は、大きな人道上の問題が残されている。まだ対話の可能性があったのにも関わらず、投降したゲリラまで銃殺した罪は大きい。」と、自分が人質として捕らわれていたいた経験をコメントした。
その後、シチズンプラザにて行われた、対抗講演会「封殺された対話〜日本大使公邸人質事件再考」には、50人を超える参加者が集まり、小倉氏の話に熱心に耳を傾けていた。
いづれにしろ、このフジモリ氏の問題は、日本市民の倫理観が国際的に問われる、非常に重要な問題である。詰めかけた国際メディアの関心の高さが、そのことを物語っていた。
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