ひと──参加者インタビュー
バックナンバーVol.3
[水野希さん(22歳)]
 今回は、東京都出身の水野希さん。CC(通訳スタッフ)として乗船している水野さん。船旅の中で一番楽しいのは「自分との出会い」だといいます――そんな彼女が最近感じていることについて語っていただきました。

Q:ピースボートと「2度」出会った、と聞いてますが?

A:そう。1度目は、「国際なんとかフェスタ」…正確な名前は忘れちゃったんですけど(笑)っていうのをやっていたところに、たまたま通りかかって知りました。そのときには、いいなぁとは思いつつも「値段高いな〜」って、そのまま忘れちゃって。
 その後、カリフォルニアに留学していたとき、友だちの友だちがピースボートスタッフだっていうことを知って、帰国してからその子に会って、話を聞いてみたんです。それが2度目。ホームページでCC(通訳スタッフ)の募集をしてたのを見て、これはやるっきゃない(笑)と、すぐに応募しました。

Q:では、実際に触れてみたピースボートはどうですか?

A:思ったより、いい意味で「日本の団体だなぁ」と思いました。それまでは、ひとりひとりが世界情勢に対して考えてることがあってその活動をしていて…というイメージ。だけど、その活動を支えてるのはスタッフひとりひとりの地道な努力なんですよ。

Q:どんなところが「日本の団体」と思えるの?

A:たとえば、スタッフが毎朝毎朝、ミーティングをやってるでしょう。夜遅くまで起きてるスタッフも、必ず起きてミーティングに出てくるでしょう?それは私からみればすごく「日本的」なモノなんですよね。
 だけどそれを否定しているワケじゃなくて、そういう努力をしたうえで、ひとりひとりが「弾けて」いろんな活動や企画をしているんだなぁ、と思えるんです。う〜ん、うまく言えないんだけど。

Q:なるほど――そんな水野さんにとっての「ピースボートの面白さ」って、どんなところにありますか?

A:一番の楽しみは「いろんな人と一緒にいること」。限られた空間とはいえ、服の趣味が違ってたら「私とこの人は違うな」と思って話しかけたりしないとか、そういうことも以前はあったんです。だけどここでは「イヤでも」友だちになれる(笑)。いまは、そんなふうにいろいろな人たちと一緒に踊ったり話したりということが楽しいんです。
 寄港地の楽しさとか企画の楽しさとか、外から入ってくる情報ももちろん面白い。だけどそれより、「自分の発見」の方が大きいんですよね。今までは「計画性のある人間」で、前もって準備をばっちり進めていくタイプと思ってた。けれど、船でイベントを企画したことで、意外にその場の「ノリ」で楽しめる人間なんだなと思った、とか。

Q:同じようなことを言う人、他にもたくさんいますよね?

A:そうそう。だんだん皆、自分の殻を脱ぎ捨てて「ラク」になってきてると思う。これはいい意味でね。自分の性格を決めつけて、そのようにしか行動しない、同じような人としか話さないっていうんじゃなくて――。
 ひとりの人間はもともと幅広いものなんだから、どこにいても大丈夫。私は船内生活で、ふだん気づかなかった自分の中の「隠れキャラ」を見つけるのが上手になったと思うんですよ。 。
[小林深吾さん(23歳)]
 「ピースボートに乗船してくる若者」ってどんな人たち?
 寄港地でまたは船内で、笑ったり涙したり、ときには悩んだり…。出航から2ヶ月、彼らにそんな「等身大の自分」を語ってもらいました。
 今回は大学時代、心理学を学んでいたという小林さん。船旅で出会った「子どもたち」の話を楽しげにしてくださいました。そんな彼がいま考えている「進路」とは――??

Q:船に乗るまでは何をしていたんですか?

A:3月までは大学生。大学で臨床心理学を勉強してたんですけど、子どものことにけっこう興味があって。夏休みには学童保育のバイトもしてました。大学院に進むことも考えたけど、行くまえにもうちょっといろんな体験をしておきたいなと思ったんです。それでピースボートがぴったりかな、と。

Q:ピースボートの第一印象は?

A:そうだなぁ…乗船前にボランティアスタッフもやっていたから、ピースボートセンターによく顔を出してたんですけど。とにかくほぼ毎日行ってましたね。自分とまったく違う人生を送ってきた人たちがたくさんいて、その人たちの話を聞けるのが面白かったから。

Q:船に乗ってそれは変わりました?

A:そんなことない。「ヘンな空間だなぁ」と思うことはあるけど(笑)。どういう生活を送るか、どう時間を使うかは全部「自分次第」というところが面白いし、新鮮ですね。特に年配の人と話す時にはそう思う。学生って、自分の親と親戚以外の「年配の人」をそんなに知らないでしょう。知っててもバイト先の上司とかさ。まだ喋ってない人がいっぱいいるから、一人でも多くの人と話していきたいな。

Q:なるほど…では、寄港地はどんなふうに過ごしてますか?

A:自分はあんまり『観光』はしたくなかった。ピラミッドが今すぐなくなるっていうことはなさそうだし、今じゃなくてもいいやと(笑)。最初に「人」に会いたいっていう思いがあったし、子どもに興味があったから、ベトナムでは「ストリートチルドレンセンター」へ。子どもたちと一緒に現地でのフェスティバルに行ったときは、すごく面白かったなぁ。

Q:特に「子ども」に惹かれたということですが…?

A:本当は一口に「ストリートチルドレン」と言っても、いろんな子どもたちがいて。それが「トピック」としてしか日本では報道されていないと思った。その子の状況とか、普通の子どもだとかいうことよりも「ストリートチルドレン」としてしか伝えられてないと思うんですよね。
 エジプトにも物売りの子がいたけれど、ストリートで暮らしている子どもがいるということを知ってはいても、本当に目の前にいることとは違う。行って会ってみないとわからないことって本当にあるなと思った。でも、子どもたちはすごく強いんですよ。彼らのすべてがわかったわけじゃないけど、それでも子どもたちは強いなぁって、ところどころで実感しましたね。

Q:ところで、どうして「子ども」なんでしょう?

A:毎年夏に、知的障害をもつ子どもたちとのワークキャンプに参加しているんです。施設の人たちと一緒に働くのも面白いし、子どもたちが「予期せぬこと」をいろいろとやらかしてくれるのも面白いし(笑)。
 実際、心理学を生かせる職って病院、児童相談所、教育相談、カウンセラー…実はそんなに多くないんですよね。実は、まだ大学院に行くかどうかちゃんと決めてないんですけど(笑)、行くとしたら児童心理学――やっぱりそっちが向いてるかなぁ。

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