ひと──参加者インタビュー
バックナンバーVol.2
[田中愛沙さん(19歳)]
 今回は、大阪府出身の田中愛沙さん。「最初はつまんなかった」という田中さん――それが変わったのは、とある水先案内人に言われたヒトコトがきっかけだとか。その出来事を中心に「今の楽しみ」について、一生懸命話してくださいました。

Q:田中さんは、高校を卒業したばかりなんだそうですね?

A:そうです。卒業する半年前くらいからずっと進路を迷っていて。知り合いが参加してたり、ポスターを見たりしてピースボートのことは知ってたんですけど、とりあえず資料請求してみて、とりあえず説明会に行って…もともと海外に行きたかったし、大学に行くにも資格をとるにも、何をしたいのかがまだよくわからないし…船っていいな、海外に行くのもいいな、と思って決めました。

Q:で、実際に乗ってみてどうでした?感想を聞きたいんですけど。

A:うぅ…それを聞かれると…最初は「全然、楽しくないやん」と思ってたんですよ(笑)

Q:それは、また(笑)――どうして?

A:友だちをつくるのが難しくて、皆の中にうまく入っていくこともできなくて。ほとんどの人たちが楽しかったといってるベトナムも、私にとってはそうでもなかったんですよね…。
 そんな時、ある水先案内人の方に「その国を目で見るんじゃなくて、心で感じるんだ」って言われて。それでかどうかわからないけど、次のインド、ヨルダンはめちゃくちゃ楽しかった。道ですれちがっただけでも、現地の人たちはいっぱい挨拶してくれて…。ヨルダンでは大学での交流に行って、伝統舞踊を見たり一緒に写真撮ったり。いっぱい交流できたと思ってます。

Q:田中さんが「楽しめるようになった」理由は何だと思いますか?

A:私の性格、けっこう「ネガティブ」なんですよね。だけど途中で「このままでいると、この船の中では何もできひん」と思って。最初はいろんなものに興味があったんだけど「面白くない」といってそのままやらなくなった、というところがあるんです。それを「こんなにいろんなことができるのに何もしないなんてもったいない」と思うようになったことかなぁ。
 自分から積極的に関わろうと思うようになったんです。いろんな人と喋るようになって、レストランでも一人でいって、その場で一緒のテーブルについた人と喋るようにして。私にとってはそれが大きな変化だし、進歩なんですよね。

Q:自分なりの「船内の楽しみ方」を見つけたということ?

A:まあ、今でも「つまみぐい」なんですけど。講座を聞いたり、空手の自主企画に行ってみたり、和太鼓をやってみたり、PA(船内音響)のチームに入ってみたり…『タダ』でいろんなことができるのって、考えてみたらすごいですよね?勉強したければ勉強すればいいし、何にもしたくなければボーっとしてていい。すごく良い環境だと思ってます。
[平山貴之さん(25歳)]
 「面白いのは『人』ですよ!!」という平山さん。ミュージシャン志望だった彼がピースボートに乗船するまで、そしていま思うこと――寄港地、船内、さまざまな角度から話してくださいました。

Q:出航直前まで専門学校に行ってたと聞いたんですけど…。

A:音楽の専門学校です。ちょうど1年目が終わる頃で、2年目もやるかどうか迷ってたんですよね。音楽が大好きだし、このまま進んだらプロになれるよとも言われてたんですけど、それが本当に進みたい道なのかと…。それまで音楽ばっかりで他のことに興味なかったということもあって、海外にも目を向けてみようかと。

Q::じゃあ、これまでと環境が全然違う場所に来ちゃったんじゃないですか?

A:そうなんですよ。最初はスタッフの勢いにビックリしたし、僕にはついていけないなぁとも思ったんですけど(笑)でも、何度か行くうちにすぐに友だちができて馴染んできました。

Q:船内ではどんな生活ですか?

A:もともとは英語がやりたかったんだけど、そう思った時、すでに「GET」は満席(笑)でも英語は勉強したいし、世界のことにも興味が湧いてきたし──ということで地球大学をやってます。こんな動機で地球大学をとってるのは僕だけかも…(笑)。
 でも、同じ地球大学生の、韓国人の友だちができて。僕にとっては初めての『海外に住む友だち』でした。彼が日本語を勉強している理由は、日本の、僕のような若者と一緒に、日本と朝鮮についての話をしたいからなんだって。僕も彼と一緒に、韓国のことを勉強したいなと思うようになったんですよね

Q:なるほど…それで、英語は上達しました(笑)?

A:はい、もちろん(笑)乗った時には全然喋れなかったから、それと比べるとかなり上達したと思うな。時には海外の水先案内人とも話せるようになったし。それも、なるべくこっちから話しかけてます。英語の上達ポイントは、やっぱり話すことなんですよ!!まず文章をつくって、それから話そうというのじゃなくて、まずは簡単なことでいいから話しかけてみること。  
 今になっては地球大学をとってよかったなと思いますね。日本に帰ってからも、世の中のいろんなことに目を向けられると思うんですよ。海外の水先案内人と話せるようになったのも、話したい「内容」がでてきたからかなぁと思うし。

Q:寄港地はどうですか?楽しんでます?

A:いろいろあるけど、やっぱりベトナムの大交流。話には聞いていたけれど、ここまでスゴイとは…ホント、ベトナムを出航した時には涙が止まりませんでした。「悲しい」っていうよりは、彼らに出会えて「嬉しい」という涙。あの経験は一生モンですね。  
 あとはラスパルマス。カナリア諸島は、北アフリカとかからの移民がすごく多いんです。彼らとの交流コースに行ったんですけど、ツアーに来るはずだった現地のミュージシャンが来られなかったんですね。そしたら北アフリカ系の移民の人たちが、バケツをひっくり返してボコボコ叩きはじめて、なんか歌をうたいだして…。で、僕もそのへんのダンボールをひっくり返して叩いたら、現地の人たちも踊りだして…。「本当の」楽器なんてひとつもないのに、みんなすごく盛り上がってて、それがすごくよかった。  
 やっぱり、面白いのは「人」ですね。これに尽きるよ。

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