「あなたもTVに踊らされている」/下村健一(市民メディアアドバイザー)
今クルーズ最初の、水先案内人による講座。元TBSアナウンサーの下村健一さんが、「松本サリン事件」や「塩釜女子高生殺人事件」など、「冤罪」を引き起こした事件を通して、大メディアによる報道の問題点を指摘。「大手メディア」に出来ないことをおぎなう「市民メディア」の可能性に触れた。
「『市民メディア』と『大手メディア』の違いは、伝えるときの視点の違いです。大手メディアではどうしても、最初に手段・次に伝えたいこと、という順番になってしまいがちですが、市民メディアにはそういった義務はありません。伝えたいものが先にあって、次に手段がついてくるんです。市民メディアが新しい価値観を新しい視点で発信できるようになれば、メディアの世界は大きく変わるはずです。」
「イラク戦争とメディア〜フツーのイラクは報じられているか〜」
/下村健一(市民メディアアドバイザー)、桃井和馬(フォトジャーナリスト)
水先案内人、下村健一さんと桃井和馬さんによる対談企画。 今年2月にイラクを訪問した桃井さんは、メディアでは伝えられていない「イラクの日常生活」をかいま見た、と言います。
また、下村さんは自身が出演するTBS「サタデーずばっと」にて、『イラク報道の読み方』を特集しました。そんなおふたりがそれぞれの立場から、イラク報道におけるメディアのありかたを語ってくださいました。
桃井
「イラクっていうのは石油資源があることもあって、もともと非常に豊かな国なんです。例えば、イラクの道路は日本のと同じ、磨いたようにぴかぴかです。また、市場にはちゃんとモノがあります。しかし、こういう様子をメディアは伝えていない。また、占領軍である米軍とイラク市民の関係もメディアには出てきません。」
下村
「イラク報道は、TVのフレームの外側を読まなければなりません。報道されている映像には、イラク側・アメリカ側ともにさまざまなカラクリが隠されています。例えばイラク戦争中、『米軍にアパッチを打ち落として喜ぶイラク市民』という映像が流れました。しかし、よく画面の端を見ると、レポーターがまわりの住民に演技を促す様子が入っていたり、カメラのフレームから外れる瞬間に演技を止めるような動きも入っています。このような『メディアイベント』がイラク報道にはたくさん見られるのです。」
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