水先案内人インタビュー
バックナンバーVol.2■
[ピーター・オルワさん(ミュージシャン)]
 "その道のプロ"水先案内人の方々にインタビューするこのコーナー。
 今回のインタビューは、ピースボートではすっかりおなじみ、ケニアのミュージシャン、ピーター・オルワさん。幾度も来日経験のあるピーターさん、実は日本語もペラペラ。そんな彼が、ピースボートへの「思い入れ」を交え、茶目っ気たっぷりに語ってくださいました――。

Q:何度もピースボートに乗られている理由を教えてください。

A:他のクルーズにも何回か乗ったけれど、このクルーズは自分の人生にとってもプラスになるのね。毎日いろいろな講座や講演、スポーツ、遊びの企画があって、新しいことを学んでいくことができる。こんなクルーズ、他にはないね。例えるならここは動く村であり学校であると思うよ。
 また、人との出会いもたくさんある。この出会いを船の中だけで終わらせず、いかにつなげていくかも大切だね。偶然出会った人とも「いつかまたどこかで会える」と思うと希望と夢が湧いてくるね(笑)

Q:ピーターさんにとって「日本」とは?

A:日本の音楽や文化にひかれて、75年に来日しました。そして日本にはケニアと似たところがいくつもあることに気づき、とても親近感が湧きました。その一つは演歌と民謡。ケニアの音楽ととても似てるね。歌を通して日本語の勉強もできました。おもしろいと思ったのは人の名前。オカダさん、オキタさんなど、ケニア人と同じ名前がいくつもあるんだもん(笑)
 日本人は打ち解けるまでに少し時間がかかりますが、とてもなじみやすい。最初はみんなとまどっているけど、それがすぐに興味に変わり少しずつ仲良くなっていける。コミュニケーションが取れるようになると、心の壁が氷のように溶けて親しくなれました。それがたくさんの良い人との巡り会いにつながりましたよ。

Q:ケニアまでのご乗船ですが、残りのクルーズ・ライフをどのように過ごされますか?

A:まだまだ見せたいものがたくさんあるね!!教えていない歌や踊りのレッスン、これから行くケニアでの野生動物の習性や特徴なども前もって知っておいて欲しい。ケニアに着いた時にそのことを思い出して身体で感じて欲しい。ただ動物を見るだけで終わって欲しくはないね。  
 その他にも、アフリカ人との付き合い方にも同じことが言えます。やはり国の文化が違うので、コミュニケーションの取り方などを教えたいね。

Q:最後に一言!!

A:「人生はいつも花見気分ではいられない」という言葉があります。苦しい思い出をいつまでも心にとどめていることは、良いことではありませんが、辛い経験があった方が人間は強くなれると思います。そうしてだんだん強くなっていく生き方が私は好きです。
(聞き手:川上咲玲)
[豊田直巳さん(フォトジャーナリスト)]
 "その道のプロ"水先案内人の方々にインタビューするこのコーナー。
 乗船2回目となるフォトジャーナリスト、豊田直巳さん。ご自身が何度も行かれたイラクについての講座をはじめ、「いまの日本」について真剣に考えさせられるお話をしてくださいました。そんな豊田さんの、「フォトフジャーナリスト」として絶対捨てないコダワリとは――?真剣なまなざしに圧倒されるインタビューになりました。

Q:ピースボートは2度目のご乗船ですが、印象は?

A:みんな、思った以上に真面目ですね。最近は、真面目なことを言うと逆にバカにされるような風潮が強いけれども、この船では真剣に受け止めている人が多いと感じます。何事もやらない後悔よりもやる後悔です。結論が出るまでやってみよう。他の人にもオススメしています。

Q:今の日本の現状についてどう思われますか?

A:本当に正念場だと思いますね。みんな、イラクで戦争をしていると思っていない。未だに「私は関係ない」と思っていたら大変なことになりますよ。今の日本は、自由にものを言うこと自体が難しくなってきています。例えば「自衛隊を派兵するか?」という問題に反対すれば、テロリストの仲間かというような批判を受ける。そんな社会で本当に良いのでしょうか?

Q:いろいろな情報が交錯する中で正しい情報を見極めるコツは?

A:誰が犠牲になっていて誰が金儲けをしているのかを考えると分かり易いですね。答えは一つではないんです。自分で判断する力を養って欲しいですね。

Q:実際に「現場」に行って写真を撮られたりしているわけですが、「怖い」と思ったり、悲惨な状況を直視できなくなってしまうことはありませんか?

A:過酷な状況の中でも、取材を受けてくれる人や写真を撮らせてくれる人がいると思うとがんばれるし、やっぱり事実から目をそらさずに見てもらいたいですね。
 フォトジャーナリストは、人が報道しない者を報道してこそ、価値があると思います。良い記事を書くには、時間をかけるか、お金をかけるか、命をかけるか、です。そして、現地の人々に信頼してもらうことが大切です。そのためには笑顔が一番大事だと思います。

Q:ズバリ、世界が平和になるために必要なことは?

A:どんな暴力にも反対する──それを日本が世界に先駆けてやっていくべきだと思います。
(聞き手:川上咲玲)

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