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バックナンバーVol.1■
[はせみつこさん(ことばパフォーマー)]
"その道のプロ"水先案内人の方々にインタビューするこのコーナー。
第一回は「ことばパフォーマー」という変わった肩書きを持つ、はせみつこさん。その名の通り、とことん「ことば」によるパフォーマンスにこだわるはせさん、船内でもワークショップが大人気――そんなはせさんに聞いた「コミュニケーション」とは??
Q:
ピースボートに初乗船されていかがですか?
A:
ワークショップの稽古に忙しくて、360度の空と海の世界をゆっくり楽しむ余裕がないのが残念です。
Q:
ワークショップにはたくさんの人が参加されていますね?
A:
私は人との出会いや新しい発見が好きなので、ここでの世代や肩書きを超えた人との関わりを楽しんでいます。
Q:
最近、若者の言葉の乱れが指摘されていますが、その辺をどう思われていますか?
A:
言葉は生きているから、変化していくのも当然だと思います。大人はそれを"汚い言葉"と否定するのではなく、本来の美しい日本語を「頭」と「表情」と「正しい言葉」を使って伝えていく努力も大切です。だって、文字にすると直に話すのに比べて50パーセントしか伝わらないと言われているのよ。言葉を理解して使うことはとても重要です。
Q:
確かに、携帯電話やメールを使う時、ちゃんと相手に自分の気持ちが伝わっているのか、心配になります。
A:
最近電車で座った途端ケータイを出してメールを打ち出す子達をよく見かけるけど、あの子達は相手とつながっているつもりでいるのかしら??ケータイさえ持っていれば相手とつながっていると思うのはどうかしら。
Q:
携帯電話が手放せなくなって、人とのコミュニケーションが間接的になってしまうのは寂しい気がします。
A:
私はもっと「人と人」「人と世界」を言葉でつなげていきたいと思っているの。向かい合って身体全体で気持ちを伝える方法を教えてあげたい。
Q:
身体全体を使った「ことばあそび」を広めていく際、"シャイな日本人"を引き込むために何か工夫されていることはありますか?
A:
誰でも遊び心を持っているもの。その遊び心を引き出すために私の方から「みんなの中で遊んじゃえ!!」って飛び込んで行っちゃうの。
Q:
重度障害児施設での活動や海外公演もされているそうですね?
A:
言葉にならない声を「ことば」として聞き、相づちを打ってあげることはとても大切です。海外公演では言葉は違っても、「地球語」というか、全身で話すとちゃんと伝わるんです。
Q:
最後に、はせさんは日本と世界をどうつなげていけば良いとお考えですか?
A:
偉そうなことは言えないけど、日本はとても贅沢です。地球の向こう側に戦争があり、飢餓に苦しむ人がいることを忘れてはいけません。同じ時を地球で過ごしているのだから、平和への思いも同じものにしたいです。
[熊谷伸一郎さん(雑誌『自然と人間』編集長)]
"その道のプロ"水先案内人の方々にインタビューするこのコーナー。
編集者として、またライターとして数々の雑誌を手がけておられる熊谷さん。今クルーズでも雑誌作りのワークショップを開いたりなど、熱心に取り組んでいただきました。
27歳という年齢から、参加者にとっても「よきお兄さん」となってくださった熊谷さんに伺ったのは、やっぱりご自身のライフワークでもある「雑誌」と「環境」のことでした――。
Q:
今回が初乗船ですが、ピースボートの印象は?
A:
ピースボートのスタッフが、『自然と人間』の読者だったことから、水先案内人のお誘いを受けたんだよね。それで、船内で環境問題や、雑誌作りができると聞いて、乗船を決めました。
船内には僕と同世代の人がたくさんいて、みんな、何かをやろうとしている。そしてすごく真面目で前向きなのに驚きました。
Q:
熊谷さんにとって「雑誌作り」とはどんな意味を持ちますか?
A:
編集の仕事は「永遠の大学院生」でいられるから楽しいんだよね。一つのテーマを決めて、その中身を掘り下げていく。この家庭で多くの人や言葉にじっくりとふれることができる。それでいて、専門家にはならない。「月刊」という周期も、僕にはちょうどいいと思います。
Q:
船内で「雑誌を作ろう」というワークショップを開いていただいてますが、ピースボートでの雑誌作りに対する思いを聞かせてください。
A:
ここにはおもしろい企画がゴロゴロしている"おもしろさ"って非日常的な状況のところにあると思うんだよね。
今、僕たちはインド洋にいて、ふと見渡すと、まわりにはいろいろな国の人たちがいる。そのこと自体がおもしろいと思う。その非日常的な状況の中で、さらにおもしろいものを作るにはかなりの工夫が必要だと思うよ。
逆に、おもしろいことが少ない状況の方が、ささいなコトでもおもしろいと感じやすいんじゃないかな。
Q:
環境問題に対しても様々なアプローチを行っていますが、熊谷さんが「エコ」に目覚めたきっかけとは?
A:
昔から動物が好きで、その動物たちが、今、ものすごい勢いで絶滅していって、二度と見ることができなくなっているんです。そういう不安感が子どもの頃からあったからかなぁ??つまり、いつか必ず人類にも降りかかるだろうという危機感だね。
Q:
環境を守るためにはどんなことをしていったらいいんでしょう?
A:
時間をかけることが大切だと思います。例えば、牛乳パックの再利用。牛乳パックなんて、全体の紙の消費量から見れば本当に微々たるものです。運動が始まった当初は「そんなことに意味があるのか?」という批判が多かった。でも、捨てることに対して「もったいない」と思う気持ちが、その活動以上に「エコロジー」につながっていくんです。ですから、小さな活動も決して無意味ではありません。
僕は、一言で言えば、「今、受け継いだ状況で子孫に受け渡したい」と思っています。これは努力目標。責任目標は、「より良くすること」でしょうね。
(聞き手:川上咲玲)
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