第44回ピースボート地球一周クルーズ寄港地インフォメーション
バルパライソ
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国名
チリ共和国 (Republic of Chile)

ことば
スペイン語
・解説
image 16世紀まで、北中部はインカ帝国の支配下にあった。1540年ごろからスペイン人の侵略がはじまり、1557年、サンチアゴに総督府が置かれた。19世紀ごろからクリオージョ(南米生まれのスペイン人)たちを中心に独立への機運が高まり、1810年に自治政府が樹立。スペイン軍との戦いをへて、1818年、正式に独立宣言が出される。1879年からはボリビア、ペルーとの間に「太平洋戦争」が勃発、これに勝利して新しく領土を広げた。
 1930年代から保守勢力と左翼勢力の対立が続き、70年、アジェンデ政権が成立。世界初の民選社会主義政権だったが、これに反発したピノチェト将軍率いる軍部が1973年にクーデターを強行。1989年の大統領選挙までの長い軍政下、政府によって処刑されたり、行方不明となった人は数多い。1998年、スペインの要請によりイギリスで逮捕されたピノチェトは、翌年「健康上の理由」でチリへ帰国。その処遇をめぐっては、今も論議が続いている。

[ソパ・デ・マリスコ/Sopa de Mariscos]
 いろいろな種類のシーフードを塩味で煮込んだスープ。貝や魚そのものよりも、ダシが溶け出したスープを味わいたい。かなりの量が出てくるので、何人かで一緒に注文するのがおすすめ。

[ピコロコ/Picoroco]
 見た目は巨大なフジツボ、味はカニそっくりという奇妙な貝。大きな殻いっぱいに詰まった身を食べていると、なかなか幸せな気分になれる。

[ラピスラズリ/Lapizlazuli]
 独特の青い色が日本でも人気のラピスラズリは、チリとアフガニスタンでしか産出されないという鉱石。もちろん本場チリでも、露天商から高級宝石店まで、アクセサリーや置物を扱う店が並ぶ。

[ワイン/Vino]
 バルパライソ南方のマイポ川やラペル川沿いの谷は、有名なブドウの産地。気候はワイン作りにもっとも適していると言われる地中海性気候、またブドウの実が成長する夏はちょうど乾季にあたり、病気による被害も少ないのだ。
 16世紀から作られてきた伝統的なワインは、樽内で何年も寝かされたどろりとしたワインで、飲みつけない人にはなじみづらい、強烈な風味を持つ。が、ここ20年ほどで最新の醸造システムが導入され、フルーティーなものが輸出用として作られるようになった。その裏には、ピノチェト政権の外貨獲得政策の「貢献」もあったというが…。

[アセンソール/Acensor]
 坂の町として知られるバルパライソ。この町の「足」として今も活躍中なのが、ケーブルカーのようなトロリーのような傾斜式エレベーター、「アセンソール」。市内の数か所にあるが、いちばん古いものは1883年から使われているとかで、ノスタルジックなムードは満点。

[青空美術館/Museo de Cielo Abierto]
 アセンソールのひとつを囲むように広がるアートスペース。坂道の途中約20か所に展示してある壁画は、チリを代表する芸術家の作品で、民家のトタン屋根が並ぶ町並みと一体となって、独特の空間を作り上げている。

[アルマス広場/Plaza de Armas]
 サンチアゴ旧市街の中心に位置する緑豊かな公園。辺りは建物の密集した賑やかな通りで、噴水と花に囲まれたこの空間は、貴重な市民の憩いの場だ。週末ともなれば、大道芸人や物売りの姿も増え、多くの人で賑わう。
 いっぽう、かつての軍事政権下には、反政府グループによる抗議集会が頻繁に開かれた場所でもある。

[モネダ宮殿/Palacio de la Moneda]
 もともとは国の造幣局として建設され、19世紀後半から大統領府として使われるようになった宮殿。サンチアゴ市街、憲法広場と自由広場の間に建つ。
 1970年のアウグスト・ピノチェトら軍部によるクーデターの際、当時の大統領サルバドール・アジェンデは、この宮殿に閉じこもって最期を遂げた。激しい空爆で宮殿が炎上する中、彼は「アジェンデは降伏しない」と叫び、自らこめかみを打ち抜いたと言われる(他殺説もある)。
[寄港地担当者より]
 地球儀で見ると、ちょうど日本の反対側にある南米チリ。その物理的な遠さとは裏腹に、細長い形や、海に面していてシーフードがおいしいところなんかは日本とよく似ています。そしてそこに住む人々からも、ラテンアメリカのラテンということばから想像するのとは違う、シャイで控えめな印象を受けるように思います。なんだか、ほんのちょっと親しみがわいてくるような気がしませんか?
 今回寄港するバルパライソは、旧市街の街並みが世界遺産に登録されたばかり。街を見下ろす丘陵地にカラフルな家々が並ぶ様子は、まるで絵のようです。もちろんそれだけではなく、市場や漁船が停泊する小さな港、長年潮風を受けてやや色あせた街の風景など、なぜかほっとさせられる庶民的なあったかさも。日本から遠く離れたチリで、さて今回はどんな出会いが待っているのでしょうか?
(助川紋子)

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