国名
インド (India)
ことば
インド全体ではヒンドゥー語に加え、15言語が準公用語として採用されている。ムンバイのあるマハーラーシュトラ州の公用語はマラーティ語
・解説
17世紀頃から、ヨーロッパの列強が勢力争いを繰り広げたのちに、19世紀に英国に支配されたインド。マハトマ・ガンジーらの独立運動を受けて、第二次世界大戦後に独立するものの、宗教上の対立から、同じイギリス植民地だったパキスタンとは分離しての「独立」となった。北部カシミール地方の帰属などをめぐって両国は対立を続け、1998年にはインドが、続いてパキスタンが核実験を強行し、世界に衝撃を与えた。
今回入港するムンバイは、英国植民地時代は「ボンベイ」の名で呼ばれ、西にあるグジャラート州とともに、海外交易の拠点として栄えたところ。英国からの独立運動の中心地ともなった。現在は、インドでも屈指の大都会として繁栄するいっぽう、貧富の差の増大も進み、スラム地区の広がりが大きな問題となっている。
[カレー/Curry]
インドで食べたいものといえばやっぱりこれでは?ただし、よく言われるように、インドのレストランのメニューには「カレー」という一品はないのが普通。かわりに、私たちの感覚でいう「カレー味」の煮込みなどが何種類も並んでいる。
肉や野菜、チーズを使ったものなど、種類も豊富でおいしい。一緒に食べる「主食」は、ごはんでもいいが、もっとも一般的なのはチャパティ(小麦粉を練って焼いた薄焼きの無発酵パン)。日本のインド料理屋で人気のナンはもう少し「高級」なパンなのだそう。
[ベールプーリ/Bhelpuri]
ライスパフ、タマネギ、ピーナッツ、チャツネ(野菜や果物のスパイシー・ペースト)、チリ、タマリンド、各種スパイスなどを混ぜ合わせたスパイシーなスナック。ムンバイの中でも特に、地元の人たちが集まるチョウパティ・ビーチで売られているベールプーリがおいしいとの評判。これを片手に、あたりの人たちを「観察」したりするのも、ムンバイっ子に人気の休日の過ごし方、なんだとか。
[パーヴ・バージ/Pav Bhaji]
「パーヴ」は間にいろんなものを挟んで食べるプレーンなパンのこと。これは、豆や野菜の入ったカレーを、温めたパーヴに添えて食べる、ムンバイ名物のスナック。露店などでも売っていて、地元っ子には野外でのランチに、ときには軽い夕食にと大活躍の一品。
[ヴァダー・パーヴ/Vada Pav]
こちらもムンバイの町の露店などで売られている、地元の人たちに人気のスナック。各種スパイスで味付けしたマッシュポテトをパーヴにはさんだ、シンプルきわまりない一品。ときには辛いチャツネなどを塗ってスパイシーな味わいにすることも。
[ココナツウォーター/Tender Coconut Water]
インド西部の海沿いの町ならどこでも見かけるのが「ココナツ売り」の姿。まだ若いココナツの殻に穴を開けて、中のジュースを飲ませてくれるのだ。
安心して飲めるヘルシーな飲み物として、地元の人たちにも観光客にも人気。特に冷たく冷やしたものはとてもさわやかでおいしい。できれば目の前で殻を割ってくれるお店を選ぼう。
[サリー&ドゥーティ/Sari & Dhoti]
あまりにも有名なインドの女性用民族衣装がサリー。「チョリ」と呼ばれるブラウスとペチコートを身につけたに、1枚の長い布を巻いて着こなす。単なる「布」が華やかな「衣装」に姿を変える様子は見事と言うほかない。
サリー屋さんに行くと、ちょうど日本の呉服屋さんのような感じで、色とりどりの布地を出してくれたりする。チョリは身体にぴったりしていたほうがかっこいいということでオーダーメイドが一般的だが、店によってはその場ですぐ仕上げてくれるところもあるようだ。
もっと楽なものを、という人には丈の長いブラウスにパンツ、ショールがセットになったサルワール・カミーズを。元々は北インドで主に着られていたものだが、最近は気軽さがうけてかインド全域で人気を呼んでいる。また、男性用の民族衣装にはドーティと呼ばれる巻き布や、クルタ(丈の短い上着)とピジャマ(ゆったりしたズボン。「パジャマ」の語源ともいわれる)がある。
[スパイスセット]
ナツメグ、カルダモンなど、各種スパイスを少量ずつセットにしたものがお土産として売られている。帰ってからカレーを作る時に入れれば本格的だし、チャイの風味付けに使ってももちろんおいしい。
[インド門/Gateway of India]
港のほど近くに経つ、高さ26メートルの巨大な門。インドがまだ英国の植民地支配下にあった1911年、英国王のジョージ5世とその王妃の訪問を記念してつくられた。いまもムンバイの町の象徴的存在になっている。
このすぐそばに建つ高級ホテル、タージマハルホテルでお茶を飲むというのも観光客に人気のコース。
[チョウパティ・ビーチ/Chowpati Beach]
インド門とは別の意味で、ここもまたムンバイを象徴するポイント。週末ともなれば、たくさんの人たちが集ってきて、家族や友人とともにベールプーリをつまみながらおしゃべりに興じている。
砂嵐がひどいので、いわゆる「ビーチ」としての遊びにはあまり向かないけれど、ムンバイの日常生活を垣間見るには最適のポイントだ。
[寄港地担当者より]
ムンバイはインドの人たちにとっての「夢の町」。それは、美しい町だから、とかいうわけではなく、厳しい労働に耐え抜いて夢を実現した人々の成功物語が、ここにはたくさん残されているから。人々はさまざまな夢を携えて、インド中からここムンバイにやってくるのです。
流行の発信地、「ボリウッド」映画の中心地――そんな華やかさとは対照的に、ここにも貧困が存在するという現実も。けれど、ムンバイの人たちは情熱をもって、この町をよりよいものにしようとしています。この町を訪れ、食べ物を味わい、その活気にふれた人なら、だれでもここを好きにならずにはいられないことでしょう。
(スミタ・マッリヤ)
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