国名
ブルネイ・ダルエスサラーム国 (Brunei Darussalam)
ことば
マレー語、英語
・解説
13世紀から16世紀にかけて、現在のフィリピンなどまで勢力を広げていた「ブルネイ王国」がその起源。16世紀からはスペインとの対立によってその力を弱め、19世紀の終わりにイギリス保護領に。
第二次世界大戦中は日本軍の支配を受け、戦後ふたたびイギリスの保護領に。1960年代から独立の機運が高まり、シンガポールなどとともに「マレーシア連邦」を結成するという案も浮上したが、国内の意見がまとまらず、結局1984年に単独での独立を果たした。
豊かな石油、天然ガス資源をもつことでも知られ、所得税なし、医療・教育無料などの高福祉政策をとる。国王は世界でも有数の富豪といわれる。
[ナシ・レマク/Nasi Lemak]
代表的なマレー料理のひとつ。「ナシ」はマレー語でごはんのことで、これは水のかわりにココナッツミルクを使って炊いたごはん。……と聞くと、「米は水で炊くもの」という先入観をもつ日本人にはちょっと抵抗がありそうだが、これが香りがよくてなかなかウマイ。ゆで卵や野菜なんかを添えて、朝食にすることもあるとか。
[ナシ・ゴレン/Nasi Goreng]
こちらはマレー風チャーハン。使われている米はロングライスなので、パラパラで香ばしく仕上がってなお美味しい。
[サテ/Sate]
日本人にも人気のある串焼き料理。鳥や牛、羊の肉を串に刺して炭火で焼き、ピーナッツ風味の甘辛いソースをつけて食べる。
[プンニャーラム]
ブルネイの家庭でよく食べられているおやつ。小麦粉と黒砂糖をまぜて、ピーナッツオイルで揚げたもの。アツアツがおいしい。
[民芸品]
国境を超えてマレーシア・サラワク州へ向かえば、先住民族イバンの人たちがつくった民芸品を買うことができる。籐で編んだカゴ、指輪やビーズなんかのアクセサリーがおすすめ。
[胡椒]
胡椒はサラワク州の名産品のひとつ。日本にも輸出されているので、そのものを買うのはつまんない、という人は、名物(?)胡椒キャンディーを。想像よりは辛くなくて食べやすい。
[銀製品]
ブルネイの土産物として有名なのは銀製品。バンダルスリブガワンの土産物屋などで買える。ただし、物価の高い国だけに、お値段のほうはあまり安くない。
[オマール・アリ・サイフディン・モスク/Omar Ali Saifuddien Mosque]
1958年、総工事費500万USドルをかけて完成した、ブルネイの象徴的存在。ミナレット(塔)の高さは54メートル、バンダルスリブガワンで一番高い建造物だという。ちょうど、水上集落が浮かぶ潟に囲まれるように位置しており、遠くから見るとまるで水に浮かんでいるようにも見えてたいへん美しい。
その「ゼイタク」ぶりでも知られており、ドームには金のモザイクが散りばめられ、建設にはイタリアの大理石、中国の御影石、イギリスのステンドグラス、さらにはサウジアラビアの絨毯が使われたんだとか。
[カンポン・アイル(水上集落)/Kampong Ayer]
バンダルスリブガワンを象徴する存在ともいえるのが、ブルネイ川の水上に浮かぶ一大集落。数世紀前から発展してきた「町」で、現在でも約3万人が暮らしているという。
板を張り合わせたような、小路の両側に並ぶ家々は、外観こそ素朴そのものだが、中は意外に広く、ビデオデッキやエアコンなども揃えている家が多い。「町」の中にはちゃんと学校や病院もあって、「陸地」への移住をすすめる政府の提案も、ずっと拒否されつづけているのだとか。
世界でも指折りの「お金持ち」国家で、水の上での生活を続ける人たち。すぐそばの川をボートが走り抜けていく、曲がりくねった小路を歩きながら、その暮らしを垣間見てみよう。
[ロングハウス]
ブルネイから国境を越えてマレーシアに入り、ボルネオ島の内陸部に広がるジャングルの地域では、先住民族のイバン族がいまも自給自足の生活を続ける。彼らが住む高床式の住所が「ロングハウス」だ。
なかには20家族がともに暮らしているというロングハウスもあるという。名前のとおり長〜い家は、部屋部分と廊下部分に分かれており、巨大な木造の廊下は昔の学校の廊下を思い出させる、という声も。宴会や集会を開いたり、ござを編んだり、昼寝をしたりと、生活のあらゆる場面で使われるスペースだ。交流プログラムでの訪問時にも、お酒好きで陽気なイバンの人々が宴の準備をして出迎えてくれる。
しかし、このロングハウスにも、都市化の波は確実に迫ってきている。ロングハウスの廊下に公衆電話が設置されていたり、テレビや冷蔵庫、冷暖房が備え付けられていたり、といった光景も珍しくなくなっているという。昔ながらの伝統と、都市化による「便利さ」と――ロングハウスに暮らすイバンの人々は、ちょうどその狭間にいるのかもしれない。
[寄港地担当者より]
世界一のお金持ち!?と言われる国王を擁するブルネイ。それゆえここでは教育費も医療費もタダ。首都であるバンダルスリブガワンでは、純金を張り巡らしたドームを目にすることができます。
しかし一方、国境を越えてマレーシア・サラワク州の熱帯雨林に広がるのは油ヤシのプランテーション。そこで採られたヤシ油は日本で「地球に優しい」製品となって販売されているのです。環境保護・エコロジーが「ブーム」の昨今、普段私たちが目にしている「地球に優しい」製品は、豊かな森を伐採し、そこに暮らす先住民族、そして動物たちから土地を奪って作られているのだという事実。
はたして本当の意味でそれは「地球に優しい」ものなのでしょうか?この機会にちょっと立ち止まって考えてみませんか。
(武内里紗)
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